4話
「おぉ、結構すごいな」
「門番さんみたいなのがいるよ?」
「お、本当だ。入ってみるか」
そう言って二人は見知らぬ国らしき所へ入るために巨大な門へと向かっていく。
「案外簡単に入れたな。敵国の心配とかねぇのかよ」
てっきり健斗は検問のようなものを受けるかと思ったが、意外に簡単に城内に入る事が出来た。
「人がいっぱいいるね」
「そりゃあそうだろうな。ていうか俺らの世界の服じゃ目立つかとも思ったが、そんな事なさそうだな」
2人の服のチョイスが良かったのか、服装的には案外馴染めている。
「とりあえず、金だな。どうするか」
「ねぇ、何かギルドって書いてある建物があるけど」
「文字は日本語と同じかよ。まあいいか。ギルドって言うとあれだよな?」
「うん。モンスターを倒してお金を稼いだりするあれだよね」
「行ってみるか」
そう言いながら詩織の頭の上に乗り、楽をしようとする健斗に呆れた様子で詩織は振り下ろそうとするが、降りようとしない健斗に諦めてギルドに向かう。
少し緊張して建物に入り受付らしき所に向かうときれいなお姉さんが出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。ご用件は何でしょう」
「あ、えーと、ギルドに入りたいというか」
「冒険者志望の方ですね。」
「あ、はい」
「それでは、ライセンスをお作りしますのでこちらの紙の項目に必要事項を書き込んでください」
「はい」
指示に従って詩織は紙に書かれた項目を埋めていく。
「可愛い猫さんですね」
「そりゃどうも」
「あら、猫又さんでしたか。失礼いたしました」
「いいよ。別に普通の猫が嫌いって訳じゃないし」
「あの、住所とかって書かないとダメですか?」
「いえ、旅人の方もいらっしゃるので、必要項目は氏名と年齢だけです。他は空けても大丈夫ですよ」
「わかりました。ありがとうございます」
そしてきっちりと名前と年齢だけを書いた紙を受付に渡す。
「それでは、ギルドの説明をさせていただきますね」
5分くらいのギルドの説明を終え、依頼掲示板へと向かう2人。
「もー、いきなり健斗が話し出すからびっくりしたじゃん」
「いや、緊張してる詩織が面白くてつい驚かせてやろうと思ってさ」
「お譲ちゃん、新人か?」
掲示板を見ていると、いきなり見知らぬ男性が話しかけてきた。
がたいがよく長身で、スキンヘッドなのに怖い感じはせず、優しそうな感じだ。
一言で言えば人がよさそうなおっさんだった。