5話
「あー、えっと・・・?」
「おっとわりぃ。怪しいもんじゃねぇんだ」
「怪しい奴は皆そう言うんだけどな」
健斗の厳しい言葉におっさんは、確かにそうだけどよぉ、と言いつつ困り顔で笑う。
「いやな、見ねぇ顔の嬢ちゃんがライセンス申請してたからよ。それに討伐依頼の提示版を見てたから、こいつぁ最近この辺に来た奴だろうってことでちょいとおせっかいをな」
「確かにここに来たのは最近、って言うか今日ですけど、それと提示版が何か関係あるんですか?」
提示版を見ていたからと言う部分に疑問を感じた詩織はおっさんに尋ねる。
「おうよ。何せ1週間前に教会で御告げの儀式があったところだからな。今この辺りには神聖な魔力が残ってるから、討伐するなら遠くまで行かないと魔物はいねぇよ」
「あぁなるほど。それで討伐依頼はダメなんですね」
「御告げの儀式って何だ?」
おっさんからの返答に納得する詩織と、知らない言葉に反応する健斗。
「教会がすげぇ規模の魔法で神様からの御告げを聴くんだってよ。まぁ御告げっつっても作物が良く実る、だとか魔物の数が増えるって程度のもんらしいけどな。それでもたまにでかい災害の御告げとかもあるから定期的にやってるんだよ」
「なるほどな。それで森から来たときも魔物がいなかったのか」
おっさんの説明に、健斗はこれまで抱えていた小さな疑問も解消されすっきりした様子を見せる。
「お前ら森の方から来たのか。実は最近森で火災があったらしいんだよ。嬢ちゃんらは運がいいな」
「あ、あはは~。そうですね」
「じ、じゃああれだな。大人しく採取依頼を受ければいいってことだよな」
気まずくなったのか、話題を変えた健斗をじと目で見る詩織だが、詩織の頭の上にいる所為で健斗は気付いていない。
「そういうことだ。おっと、そういえばまだ名乗ってなかったな。俺はアッガスだ。よろしくな、新人コンビ!」
「あ、詩織です!よろしくおねがいします!」
「健斗だ。よろしくな」
笑顔で名乗るアッガスにつられ、笑顔で名乗り返す詩織と健斗。
「おう!シオリとケントだな、覚えたぜ!まぁまた見かけた時にでも声を掛けてくれや!」
じゃあな、と言いながらギルドから出て行くアッガスを見送りながら、人の良さそうな知り合いが出来たことに安堵する2人であった。




