全ては進んでいく…
いつぶりだろう、コレの更新……でも短い…
「では、改めて報告してもらおうか…フランデレン卿……?」
「ハッ」
マルディウス王国が治める土地の一つに佇む要塞『グランディア』。そこの会議室に、こんな辺境地には滅多にやってこない貴族や将軍、さらには一部の王族が集まっていた。
この表向きには存在していない要塞は本来、世間的に伝えてはいけない情報や内容を詮議し、その今後を決める場所である。が、それを踏まえても今回の会議に集まった面子と人数は異常である。
それも仕方のない事だ。何せ、今回の議題は王国の今後を左右しかねないのだから…
「先日皆様方に報告した通り、私は哨戒任務中に彼らと遭遇しまし…」
「前置きはいらん、さっさと要点を言いたまえ…」
「では、失礼しまして…早い話、哨戒任務中に第四人類と遭遇し、どうすれば良いのか判断できずに連れ帰ってきてしまいました……」
王国が散々その存在を恐れたという全てを持つ者、第四人類。その存在がつい先日、この会議の場で随分と飄々とした態度を見せる『レイナード・フランデレン』の手によって発見され、そのままこの要塞に連れてこられてしまったのである。幸いその第四人類は幼い子供であり、並の魔導兵以下の戦闘力を持っていないため処遇は先送りにされた。だが彼が第四人類である事実は変わりなく、王国にとってどんな存在になるか分かったものではない。故に今日、王国中の要人を集めて会議を行う事になったのだが…。
「で、どうする気ですか?化猫族…いや、第四人類とは云えまだ何も知らないガキのようですが……」
「そんなの決まっている!!今すぐに殺すべきだ!!」
「いや、ここは敢えて王国の兵力に加えるべきだ!!忌々しい帝国に対しての戦力になるぞ!!」
「汚らわしい亜人を王国軍に組込むだと!?ふざけるな!!」
「今まで解明できなかった妖力の研究ができる。そうすれば亜人の殲滅も楽になるかもしれんぞ!!」
長年積み上げられてきた習慣と欲望がぶつかり合い、中々結論を出せずにいるのが現状である。この場に議題を持ち込んだ張本人は思わずため息を吐いた…。
本音を言えば、何となくこんな事になるだろうという気はしていた。帝国に比べて圧倒的な統率力を誇る王国だが、その源は古くからの伝統や習慣による力が大きい。だが、今回の議題は今の今まで何の事例が無い第四人類の事。どうすればいいのか誰も分からないのだ…。
「……諸君、落ち着きたまえ…」
「ディレクトル様…!!」
喧噪に包まれる会議場に静かに響いた声、その声は一瞬にしてその場を静めた。その声の持ち主は六王家にして宗教を司りし一族、現ディレクトル家当主『オルバン・ディレクトル・グランツ』だった…。
個人的に六王家が嫌いなレイナードは人知れず舌打ちしたが、それに気付く者は居なかった。
「とにかく冷静になりたまえ。フランデレン卿、第四人類は今どうしているのかね…?」
「……私の自室に姉と共に待たせています。無論部屋には結界を展開しており、中からは開けれないようにしてあります…」
「その結界が破られる気配は?」
「ありません。念のため部屋の前に部下を多数配置しておりますが、今の所異常は報告されてません」
「……ふむ…」
その言葉に一度頷くとディレクトルは何かを考えるように目をつむった。しかし、すぐにその目を開いて周囲の者達に対して口を再度開いた。
「諸君、聴いた通り今の第四人類…彼に危険は見受けられないようだ。だが、彼が魔力と妖力の両方を持っているのは事実。それが我々にとって力になるのか、脅威になるのかは分からない。つまり、彼は我々にとって両方の可能性を秘めているというわけだ…」
紡がれていく言葉に周囲の者達は黙って耳を貸し、その意味を考える。何を言おうとしているのかだいたい分かったレイナードは、この後に出てくるであろう言葉に対して身構えた…。
「つまり、今この場において彼の価値を断定するのは無理ということだ。ならば、それを見極めるまでは殺すにしても森に返すにしても早計というもの。そうするぐらいなら、今の内に首輪を付けておくべきだと思わないかね…?」
「つまりディレクトル様は第四人類を王国軍に引き込むおつもりですか…!?」
「それを決めるためにも、今は飼い馴らしておくべきだと言っているのだ。時が経ち我々の役に立ちそうならば戦力に、脅威となるのならば殺せばよい。幸い結果的にとはいえ、レイナードは彼らにとって命の恩人だ。我らに即牙を向けることも無いだろう…」
「……しかし…」
尚もディレクトルに反論を続けようとした高官だったが、彼にひと睨みされた瞬間に押し黙った。これ以上の反論は許さんと暗に示されたら黙るしかなかった…。
もっとも、この場にいる殆どの者達がディレクトルの賛同の意を雰囲気で示していたが…。
「では、彼らのおおまかな処遇に関しては保留と言う事に決定だ。異論無き者は沈黙せよ…」
「「「「……。」」」」
「ちょっと失礼、異論はありせんが希望があります」
「何かね、フランデレン卿…?」
会議場に居る全員の視線がレイナードに一斉に集まる。が、そんな事を気にせずに彼は言葉を続ける。
「第四人類の身柄、この私が預かってもよろしいでしょうか…?」
「…理由は?」
「ただの気まぐれと受け取って貰っても構いません。それに、どうせ化猫族の面倒をみたい等と言う輩がそんなに居るとは思えませんが?」
「……構わん、許可する。この場に居る者達の殆どが亜人嫌いなのも確かだ…」
レイナードとディレクトルの言葉の通り、この場に居る者の殆どは亜人嫌いである。元々魔力を持たない生物を見下す風潮のある王国、その要人たちが集まればこうなるのも必然だ。
案の状、彼の希望に反対する者は一人も居なかった。この現実にレイナードは再度溜息を吐きたくなったが、どうにかそれを飲み込んだ…。
「さて彼らの件はこれで一応の終わりとする。それでは、今日の会議の本件に入らせてもらおう…」
――――第四人類を誕生させた化猫族の対応に関して、だ…




