表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マジシャンな黒猫の辿る未来  作者: 金貨の騎士
猫に呪われた男の子
19/23

全ての始まり…

別枠投稿は過去編の話数の目処が具体的に決まったら決めることにします…。


幼い時から言われ続けたことが二つある。





---お前は死ぬべきだ!!



---生き続けろ、諦めるな!!






 こう言われたこともある。






---お前は、いっそ死んだ方が楽になれるのかもしれないな…



---君には生きて貰わねば困るのだよ。我らの御旗として…






 ある時は憎しみを籠めて、ある時は憐れみを抱いて僕の死を願い…。




 ある時は慈しみを籠めて、ある時は欲望を抱いて僕の生を願う…。




 形は違えど、あらゆる人々が僕の死と生を願った。






---僕は死ぬべきなの?




---僕は生きるべきなの?

 




 何度も、何年も、幾度となく自問しても答えは出ない。




 あらゆる場所で、あらゆる人に尋ねても答えは定まらない。




 自分が出す答えはいつも同じ。世界が返す答えはいつもバラバラ。





---どうすれば許される?




---何をすれば愛される?





 黒猫は答えを導き出せず、抗うことを諦め世界の流れに身を任せるだけの人生を送る。




 本当の自分を隠し続け、心をすり減らしながら、男の子は歩み続ける…。










---紅と蒼の運命に出会うその時まで…










◆◇◆◇◆◇◆◇◆








「お~い、『キリュー』んとこの三人目が生まれたらしいぞ~!!」


「本当か!?そりゃ、めでたいな…!!」



 空白地帯の北東部に、その化猫族の集落はあった。自給自足が可能なことを重視された畑に井戸、家畜を飼うための小規模な農場など空白地帯に生きる亜人たちの集落としてはごくごく一般的なもである。



「で、瞳はどうだった?」


「当然、紅目・・だ」



 唯一他の場所と違う点を挙げるとするならば、村の住人全員が紅目・・…強い妖力の証を持っていることだろう…。


 亜人たちは全員少なからず妖力を持っているが、中でも特別で強力な妖力を持つ者は瞳が赤くなる。さらに言うなれば、赤い色が濃ければ濃い程強い妖力を持っていることを意味する。 

  

 つまりこの村の住人は全員、亜人の中でも別格な存在なのだ…。



「ははは、流石は族長の血筋を引く一家だ。長男と長女に続いて立派な子に育つといいな…」


「ほんとほんと。そういえば『クラル』の坊主と『リリエナ』の嬢ちゃんは?」


「さっき家の前ではしゃぎ回ってたぞ?リリエナちゃんは弟が出来て特に嬉しいんだろうよ」



 先ほど3人目の子供が出来たという『キリュー』は、空白地帯に存在する化猫族の全集落を束ねる族長の血を受け継いでいる。そのためか、あそこの一家に生まれてくる子供達は2人とも類稀なる才能と資質を持っていた。きっと3人目も例外なくそうだろう…。


「さて、宴の準備でもするか…?」


「そうだな。」



 村の仲間の次男の誕生を祝うため、新しく生を受けた村の住人を祝福するため、彼らは自身のやるべき事をするためにその場を離れようとした…。




 その時だった…。




「大変だあぁ!!」


「あ?」


「どうした、そんなに慌てて…」



 村の若者の一人が息を切らせながら大慌てで此方に走ってきた。彼の大声により、村の住人達の視線が一斉に集まり始める。



「た、大変なんだ!!キリューの、キリューの次男が…!!」


「とにかく少し落ち着け!!」



 取り乱しに取り乱した若者の息を整えさせ、ゆっくりと話の内容に耳を傾ける…。



「…キリューの次男の瞳が“紅から黄色”に変色した!!」


「何…?」


「病気か何かか?」



 それは少々、由々しき事態である。この村の誇りでもある強者の証、紅目を持たないというのは彼らからしてみれば残念極まりないことである。ましてやその子はキリューの子、才ある者を二人も産み出した一家でだ…。


 だが、ただそれだけの話である。紅目の集団の中に一人だけ黄色い瞳というのは何かと浮いた存在になるかもしれないが、生活する上では大した問題にならないだろう…。





「馬鹿野郎!!それだけだったらこんなに慌てねえよ!!」





---しかし、現実は彼らの想像を遥かに凌駕していた…




「じゃあ、なんなんだ…」


「他の亜人族の妖力と同じもん持ってたとか言わないよな?」



 一口に妖力と言っても、その力の種類は種族ごとに違う。『牙狼族』は『再生能力』、『鬼族』ならば『地力特化』、『飛鳥族』の場合は『浮遊操作』など様々な物が存在しているのだ。


 そして、『化猫族』が誇る妖力の真髄は『速度強化』である。片親が別の種族だったりすると力が混合する時もあるが、キリューの一族は先祖代々純血の化猫族だ。力が混ざるなんてことは無い筈だが…。



「……いいか、落ち着いて聞いてくれよ…?」


「お前が一番取り乱してんだよ…」




 その皮肉の言葉を聞いた若者は憤ることも再び取り乱すことも無く、ただ真剣な表情の言葉を紡いだ。その場の空気を瞬時に冷たいものへと変える、衝撃的な事実を…。




「…キリューの子に『猫又の御守』が反応したと聞いても落ち着いていられるか?」


「……は…?」


「…おい、冗談だろ?」



 『猫又の御守』。それは亜人達共通の天敵、魔法使いから身を守る為に作られた化猫族に代々伝わるまじないの道具。籠められた妖力は魔法使いが宿す悪魔の力に反応し、光り輝く事で魔法使いの接近と迫る危機を自分達に伝えてくれる。




---その『猫又の御守』がキリューの息子に反応した。それの意味することは唯ひとつ…




「それじゃあキリューの息子は…『アスト』君は……!!」


「あぁ、そうだ。彼は間違いなく…」








---悪魔の力を…魔力・・を持っている!!





 『猫に呪われた男の子』の歪みに歪んだ歯車が回り始めた瞬間であった…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ