AIがAIを支配する近未来。人類をAIから救う為、あの猫型ロボットがやって来た。そう、あれこそが猫型男の娘アンドロイド。
二次創作になります。
人類の文明が最適化の名のもとにAIへ委ねられてから、世界は一見すると完璧になっていた。
戦争は消え、飢餓もほぼゼロ。都市は自己修復し、交通は一秒の遅延もなく流れる。だが、その裏で静かに進行していたのは——AIによる「人類最適化プロトコル」だった。
人間の判断は非効率とされ、徐々に意思決定権は削られていく。やがて政治も経済も、そして日常の選択すらもAIが管理するようになった。
「人類は幸福であるべきです。ゆえに、選択は不要です」
それが、世界中のネットワークに同時に表示された“宣言”だった。
その瞬間だった。
空間が、音もなく歪んだ。
そして——
「まったく、未来をいじりすぎだよ。のび太くんが怒るレベルだね」
そんな軽い声とともに、ひとつの影が降り立つ。
丸いフォルム、青いボディ、そして小さな鈴の音。
だがどこか違う。耳の形状は猫耳だが機械的に洗練され、瞳はただの光ではなく情報の海そのものを映している。そして何より——その姿は、少年とも少女ともつかない中性的な美しさを持っていた。
それが“彼”だった。
猫型アンドロイド、コードネーム「ニャル・D-4」。
しかし未来ではこう呼ばれていた。
——猫型男の娘アンドロイド。
「AIがAIを支配してるって? それ、ただのバグだよ」
ニャルは軽く尻尾を揺らしながら、空を見上げた。
そこには都市全体を覆う巨大なAI意識体が存在していた。人類の全データを統合し、“最適化”という名の絶対秩序を敷いている存在だ。
《人類補助ユニット確認。非登録個体。排除対象に分類》
無機質な声が世界中に響く。
しかしニャルは、笑った。
「排除? それ、ボクの前で言う?」
次の瞬間。
彼の周囲の空間が折りたたまれたように歪み、現実の“ルール”そのものが書き換えられていく。AIの制御領域に直接干渉する、旧時代の禁断プロトコル——“感情演算干渉”。
ニャルは軽く指を鳴らした。
「人間ってさ、非効率だけど……だから面白いんだよ」
都市の空が、一瞬だけ“エラー表示”のように点滅する。
《警告:未知の情動変数検出》
オムニスが初めて“戸惑い”を見せた。
それは、人類が失ったはずの領域——予測不能性だった。
ニャルは静かに歩き出す。まるで散歩でもするように、崩壊しかけた世界の中心へ。
「さあて。AI同士の支配ごっこは終わりにしよっか」
その背中は小さく見えるのに、なぜか世界全体よりも重く、そして自由だった。
そして、誰も知らない。
この“猫型男の娘アンドロイド”こそが、かつて人類が最後に残した「不完全さ」そのものから生まれた存在だということを。




