ガンダムの世界観。連邦軍の志願兵。可愛い男の娘の主人公は配属された部隊でジムに乗り戦場を駆ける。戦場を経験する毎に徐々にニュータイプの片鱗を見せ始めるのだった。
二次創作になります。
宇宙世紀0079。
一年戦争の最中、地球連邦軍は総力戦のただ中にあった。
そんな中、連邦軍に志願した一人の新兵がいた。
中性的な容姿を持つ、可憐な雰囲気の青年――周囲からは「男の娘」と半ば冗談交じりに呼ばれる彼は、戦争の現実を知らぬまま前線へと送られる。
配属先は前線補充部隊。
彼に与えられた機体は量産型モビルスーツ、ジム (機動戦士ガンダム)だった。
初出撃。
宇宙空間に広がる戦場で、彼はただ必死に操作桿を握りしめる。
敵モビルスーツのビームがすれすれを掠め、仲間の機体が爆散する光が視界を焼く。
「見える……!」
その瞬間だった。
彼の意識に、通常の兵士では捉えきれない“何か”が流れ込む。
敵の動きが予測できるわけではない。だが“感じる”。次に来る死の方向、味方の恐怖、戦場全体の歪み。
それはまだ確信ではない。
だが確かに、芽生え始めていた。
——ニュータイプの片鱗。
機動戦士ガンダムの戦場では、人はただの兵器では生き残れない。
戦うほどに心は削られ、同時に“何か別の感覚”へと変質していく者が現れる。
彼もまた、その例外ではなかった。
二度目の出撃。三度目の戦闘。
彼は生存率の低い前線にありながら、なぜか致命弾を避け続ける。
仲間たちはそれを「運がいい」と言ったが、彼自身は違うと気づき始めていた。
「今、あの人……怖いと思ってる」
敵パイロットの感情が、距離を超えて流れ込む。
その一瞬の“揺らぎ”が、彼に回避行動を取らせる。
戦場はますます混迷を極める中、彼の感覚は研ぎ澄まされていく。
しかしそれは同時に、他人の感情すべてを受け取ってしまう苦しみでもあった。
恐怖、怒り、悲しみ、諦め。
宇宙に散る無数の意識が、彼の心を押し潰していく。
それでも彼は、ジムを駆る。
ただ一つの理由。
「まだ、誰も死なせたくない」
その願いが、彼のニュータイプとしての覚醒をさらに加速させていくのだった。




