100人の男の娘冒険者リョカの後日談を書いて下さい!人数は100人のままで!
別バージョンになります。
泉のダンジョン事件から一週間後。
街はまだ、静かに混乱していた。
というのも――冒険者リョカは、まだ100人のままだったからだ。
「……もうこの街、人口統計おかしくない?」
ギルド職員が遠い目をする。
「“リョカ100名”で一括登録って何なんだよ……」
だが当の本人たちは、意外なほど平穏だった。
◆
街外れの訓練場。
そこには、100人のリョカが整列していた。
銀髪の男の娘が、きっちり100人。
ただし、もう誰も“違和感”を持っていないのが一番の異常だった。
「本日の課題は?」
「模擬戦」
「採取効率化」
「魔法同時詠唱訓練」
「料理当番」
「あと洗濯」
「最後雑務じゃねえか!」
即座に100人でツッコミが飛ぶ。
そして100人で笑う。
もはや一つの集団というより、“一人の思考を100体で共有している存在”だった。
◆
戦闘訓練。
100人が同時に動く。
前衛20。
魔法30。
索敵10。
支援20。
残り20は――なんかノリで踊っている。
「おい最後の20!」
「戦術に“士気”は重要だろ!」
「自由すぎる士気だろそれ!」
それでも強い。
圧倒的に強い。
模擬戦の相手になった騎士団は3分で降参した。
「……勝てるわけねえだろ」
「100人同時に連携取れるやつ初めて見たぞ」
◆
だが問題もある。
食事。
「今日の飯当番は?」
「俺」
「いや俺」
「俺だが?」
「100人いるんだから100回作れ」
「地獄か?」
結果。
厨房が100箇所に増設された。
◆
さらに問題。
ギルド依頼。
「ドラゴン討伐依頼です」
「100人で行く」
「採取依頼です」
「100人で行く」
「護衛依頼です」
「護衛が依頼者を守る前に100人で囲むな」
結果。
依頼達成速度が“産業革命レベル”に跳ね上がった。
しかし経済は崩れかけた。
「やめろ、素材市場が壊れる!」
「でも100人いるしなあ」
「便利すぎるのが問題なんだよ!」
◆
そんなある日。
100人のリョカは、珍しく静かに泉ダンジョンの報告書を見ていた。
「なあ」
誰かが言う。
「俺たち、これもう戻る必要ある?」
一瞬の沈黙。
そして――
100人が同時に考えた。
・便利 ・強い ・孤独じゃない ・でもちょっとうるさい
結論はすぐ出た。
「まあ、このままでいいか」
「今さら一人に戻るの、逆に怖い」
「同意」
「満場一致だな」
◆
その夜。
街の屋根の上。
100人のリョカが並んで座っていた。
同じ顔。
同じ空。
同じ月。
「……なんかさ」
「うん」
「100人いるのに、ちゃんと俺たち“俺”なんだよな」
「それな」
「不思議だな」
しばらく沈黙。
風が通る。
そして誰かが笑った。
「まあいいか」
「だな」
「100人で冒険者ってのも悪くない」
月明かりの下。
100人の男の娘冒険者リョカは、同時に笑った。
その笑い声は、ひとつの声のようで――確かに100人分だった。




