主人公の可愛い男の娘と可愛い男の娘が付き合う小説を書いて下さい!
放課後の教室は、もうほとんど誰もいなかった。
窓から差し込む夕日が、机の角をひとつずつ金色に縁取っていく。
その中で、二人だけがまだ残っていた。
「……ねえ、玲」
先に沈黙を破ったのは澪だった。銀色の髪を指先でいじりながら、少しだけ視線を落とす。
「んー?」
玲は椅子に座ったまま、振り返る。スカートの裾が軽く揺れる。
澪は一度だけ息を吸って、それから小さく言った。
「僕たち、付き合ってる……ってことでいいんだよね」
一瞬、教室の音が全部消えた気がした。
玲はぽかんとしたあと、すぐに笑う。
「え、今さら確認?」
「だって……ちゃんと言葉にしてなかったから」
澪の声はいつもより少しだけ早い。耳までほんのり赤い。
玲は立ち上がって、澪の机の前まで歩く。
「じゃあさ」
わざとらしく、少しだけ距離を詰める。
「改めて言うね」
澪は少しだけ身を引きかけて、それでも逃げない。
玲はまっすぐ見つめて言った。
「俺、澪のこと好き。付き合ってるってことでいいよね、じゃなくて……ちゃんと“好きだから付き合ってる”」
沈黙。
澪は数秒間、何も言わなかった。
でもその代わりに、視線がゆっくりと上がる。
「……僕も」
かすれた声だった。
「玲のこと、好き」
それだけで、十分だった。
玲は少しだけ目を細めて笑う。
「そっか。じゃあ正式に成立だね」
「なにそれ……」
澪が小さく笑う。その笑い方は、いつもより少しだけ柔らかい。
夕日が少し傾いて、教室の影が伸びていく。
玲はふと、窓の外を見たあと、ぽつりと言った。
「ねえ、澪」
「ん?」
「付き合うってさ、何するんだろうね」
澪は少し考えてから答える。
「……一緒にいること、じゃない?」
「それなら、もうできてるね」
玲は軽く笑って、椅子を引いて隣に座る。
肩が、ほんの少し触れる距離。
澪は一瞬だけびくっとしたあと、そのまま動かない。
逃げない。
むしろ、少しだけ寄る。
それに気づいて、玲は小さく息を吐いた。
「ねえ澪」
「なに」
「これからも、ずっとこうしてていい?」
澪はすぐには答えなかった。
でも、やがて静かに頷く。
「……うん」
夕焼けの教室で、二人の影がひとつに重なる。
“男の娘”と呼ばれる二人。
でも今だけは、ただの玲と澪だった。
好きと言ったあとも、特別なことは何も起きない。
ただ隣にいる。
それだけで、世界は少しだけ優しく見えた。




