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主人公の可愛い男の娘の家に従兄弟の男の娘がやってきた。
夕方、チャイムが鳴った。
「はーい……って、え?」
ドアを開けた瞬間、主人公は一瞬言葉を失った。
そこに立っていたのは、荷物を抱えた小柄な少年。柔らかそうな髪に、少し眠たげな瞳。どこか自分と似た空気をまとっている。
「久しぶり、従兄弟くん。今日からしばらくお世話になるね」
さらりとそう言って、小さく手を振る。
「え、聞いてないんだけど……!」
「うん、今言ったから」
悪びれもなく微笑むその姿に、主人公は思わずため息をついた。
――従兄弟の彼もまた、いわゆる“男の娘”だった。
家の中に通すと、従兄弟は慣れた様子で靴を揃え、部屋を見回す。
「相変わらずだね、この部屋。ちょっと安心する」
「安心って何……」
呆れながらも、どこか落ち着かない。
昔は年に数回会う程度だったはずなのに、こうして同じ空間にいると、不思議と距離が近く感じる。
「ねえ、ここってベッド一個しかないんだ」
「だから何を当たり前のことを……」
「じゃあさ」
従兄弟はくるりと振り返り、にこっと笑った。
「しばらく、一緒に使うね」
「……は?」
その一言に、主人公の平穏な日常は、静かに崩れ始めたのだった。




