もっとイチャラブ展開を水着回で!
波打ち際で遊び始めてから、空気はもう完全に「デートの理性」みたいなものを置き去りにしていた。
「ちょ、待って、冷たっ……!」
白いフリルの男の娘が海水をかけられて飛び退く。
けれどすぐに、楽しそうに笑い返す。
「そっちが先にかけてきたんでしょ」
「倍返しってやつ」
淡いブルーの水着の男の娘が、悪戯っぽく肩をすくめる。その表情がやけに無防備で、ずるいくらい楽しそうだ。
次の瞬間。
「……っわ!」
今度は逆に、両手いっぱいの海水がかけられる。
しぶきが髪や頬に散って、二人とも一瞬びしょ濡れになる。
そして、同時に止まった。
「……やったな?」
「やったね?」
一拍置いて――
「「ふふっ……はははっ」」
同時に吹き出して笑う。
気づけば、笑いながら追いかけっこになっていた。
砂浜を駆けて、波を踏んで、息が少し上がって、それでも止まらない。
「捕まえたらどうするの?」
「捕まえられるもんならね」
「言ったね?」
そのまま軽く腕を伸ばした瞬間、白いフリルの男の娘の手首がそっと掴まれる。
「え」
「はい、捕まえた」
あまりにも自然で、優しい力。
逃げようと思えば逃げられるのに、なぜか動けない。
「……ずるい」
「逃げなかったじゃん」
そのまま、少しだけ距離が縮まる。
潮風の中で、呼吸の音がやけに近い。
「ねえ」
「ん」
「こういうのさ」
「うん」
「反則だと思う」
そう言うと、掴まれた手をそのままにして、少しだけ顔を背ける。
でも、離れようとはしない。
ブルーの男の娘は、少しだけ目を細めた。
「嫌だった?」
「……嫌じゃない」
その返事が小さすぎて、ほとんど波音に消える。
けれど、ちゃんと届いていた。
「じゃあいいじゃん」
そう言って、今度は手を離さないまま、軽く指を絡める。
今度は逃げられないように、じゃない。
逃げなくてもいいように、みたいに。
「……暑いね」
「うん」
「でも、なんか」
「なに」
「今はちょっと、いいかも」
その言葉に、相手は何も言わない。ただ、少しだけ笑う。
二人はそのまま、波打ち際に並んで座る。
足元に寄せる波が、指先をかすめていくたびに、どちらともなく肩が近づく。
「ねえ」
「ん?」
「今日さ」
「うん」
「ずっと一緒にいる気がする」
「……ずっと一緒にいるんじゃない?」
さらっと言われて、少し固まる。
そして、ゆっくり顔を見合わせて――
「それ、普通に嬉しいんだけど」
「知ってる」
即答。
そのまま、どちらからともなく軽く肩をぶつけるように寄りかかる。
砂浜のざらつきも、海の冷たさも、全部混ざっているのに。
その距離だけ、やけにあたたかかった。




