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イエローステーキと祝い事

 銀河の果て、長距離ワームホールから少し離れたところにあるステーキ店。今日も仕事の合間にステーキ店へやってきた。ウキウキと宇宙船のドッキングハッチを抜け、エアロックを開けると、黄色のマスターが笑顔?で出迎えてくれた。


 席についてしばらくすると、チリチリと温められた鉄板にドーンと載った分厚いステーキがサーブされた。色は黄色。今日はイエローステーキの日だ。


 テーブルに置かれた箱からナイフとフォークを取り出して、分厚いステーキを切り分け一口頬張る。イエローステーキはうまみを含んだ油が舌の上でねっとりととろけて、乳製品を思わせる濃厚さ。美味しい。これはバケットに挟んで食べても絶対美味しい。あれこれアレンジを想像しながら、マスターのステーキを味わう。幸せだ。


 今日は長距離宇宙トラックドライバー達のここいらへの配達業務が少ないのか、いつもより店はゆったり営業している。チャンスだ。絶好の機会。


「マスターマスター。ずっと聞いてみたかったんだけど、マスターはどうしてここでステーキ店を始めようと思ったの?」


 マスターは頭?らしき所にある?8つの目?をキラキラさせてこちらを向いた。なんかちょっと膨らんでる。


「モルルン人、子供を授かったら、お祝いに親族のステーキを妊婦が食べるのが習わし。私のステーキ、親族の中で一番おいしいって、みんなに私のステーキ食べたい言われます!壁に飾ってある写真、私のステーキを食べて生まれてきた子供たち!」


 ステーキ店の壁にはマスターとモルルン人が一緒に映った写真がみっちりと飾られている。うっかり壁に手を着く隙間もない。マスターのステーキ大人気。


「親族みんなに美味しい言われるの嬉しい!私、親族以外にもステーキ食べてもらって、美味しい言われたかった!でも親族、お祝いのステーキ、お店に出すの反対。だから、ここでこっそり始めたのよ。」


 よかった!宇宙グルメサイトや宇宙ネットワークにマスターのステーキの情報を載せないように、長距離宇宙トラックドライバー達で隠匿していたことに、多少なり罪悪感を持っていたが、マスターの意向にもそっていた。


「私、鼻が12本あるからね、12席のお店にしたの!私一人でもいっぺんに焼き立てステーキが出せるでしょ!」


 鼻だった。手?でも足?でもなく鼻だった。モルルン人のあそこは鼻なのか。鼻が12本あると。本当にモルルン人について知らないことばかりだ。ん?ちょっと待て、?


「マスター。12席にいっぺんにステーキ出したら、マスター浮いちゃわない?」


 モルルン人は浮くこともできるのか?どうなるんだろ?と質問したら、マスターがプルプルと波立った。なんかポロポロ音も聞こえる。


「確かに…私…浮いちゃう…!ポロポロポロ…私…浮いちゃうじゃん…それじゃ…!」


 ポロポロ聞こえるのはマスターの笑い声だった。ポロポロ笑うんだ。モルルン人。


 マスターはプルプル波立ちながら、私の2枚目のイエローステーキを焼いてくれた。


 私はポロポロ聞こえる中、モルルン人がお祝いの時に食べるというステーキを味わった。有難みも増して一層美味しい。ステーキに情熱を掲げる笑い上戸のマスターの宇宙一美味しいステーキ店は、銀河の果てでひっそりと営業を続けている。

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