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濃い塩味?、それとも薄い塩味?

数ヶ月経った。

水温も上がり、今は泳ぎ放題だ。


でも、魚を獲るのは自重している。

言えるのは一つ、魚を加工するための塩が無いということだ

村にはもちろん塩はあるけど、魚の加工に回すほどじゃないし。

俺は大人じゃないので町まで行って塩を買いに行くことが出来ない。


この世界の街道は異常に危険だ。

一日歩けば1回以上は狼に襲われるのが普通なんだ。

でも村の中では平和で何もない、よく出来た世界だ。


因みに、湖で泳げる時期は大体一年の内10ヶ月位ある。

2ヶ月だけ、山から雪解け水が流れてきて水温が下がるからだ。

最初泳いだ時は、その2ヶ月の終わり時期でまだ水温が冷たかったが。

すぐ泳げる水温になったので、それからは、ずっと泳ぎ続けてる。


そんな時、行商人が街から来た。

年に3回くらい来るが、俺が冒険者を始めてから、初めてだ。

行商人は色々持ってくるし。村から色々買っていく。

そして、俺が欲しくてやまない、塩と香辛料を運んでくるのが行商人だ。


魚捕りを始めてから塩が無いために出来ないこと。それは干物と燻製だ。

行商人がその内、来る事は分かってたので。

あらかじめ、試作品を作るための木の板の魚を干す台。

それと、燻製用のボックスを作った。

燻製用ボックスの中には、金属の鉄板を地面より高く置けるようになっていて。

鉄板の上には木屑を置いて、その下から火の魔法を使って木屑を熱する感じだ。


でも、俺がこの世界で燻製に適した木をしらないという事。

そして、燻製のつくり方を知らないという事だ。

今、上記で書いてあるのは、完全に俺の燻製のイメージを形にしたもので、作り方を知っているわけじゃない。

こうやったら出来るんじゃないか的な、何となくで制作してみた。


まあ、そんなことより、行商人だ。


「レシ姉、行商人が来たんだろ行こうよ。」


「私たちが行ったって買うものなんて無いわよ。」


俺は塩を買うんだ。流石にもうすぐ6歳とはいえ5歳の俺一人で行っても相手にしてくれない。

レシ姉はこの間9歳になったし、レシ姉が居れば何とかなると思うんだよなぁ。


「レシ姉、この間9歳になったから、俺から服を買ってあげるよ。」


レシ姉はちょろいからこんなことを言えば乗ってくるだろ。


「ヨー、私は後で叱られるのは嫌。だから要らない。」


なんと、ここでこんな罠があるとは。


「わかった。隣のチナーに服買うよ。きっとチナーなら一緒に行ってくれるから。」


チナーはレシーといつも一緒に遊んでる親友だ。

でも、向かいの家に住んでる、ムックスの取り合いをしているライバルでもある


「なんで、チナーが出てくるのよ、チナーに服を買うくらいなら私に買いなさいよ。」


よし、成功だ。


「じゃあ、行こうか。」


行商人のところまで行った。


「塩は一人1瓶までだよ。あと胡椒も山椒も少しだけだよ。」


行商人は集まってる人たちに沢山買えないことを話していた。

俺は調味料系の物を売っている行商人の所に来た。


「私の服を買うんでしょ、なんでここで止まったのよ。」


レシーは早く服が買いたいからか文句を言ってくる。


「これも買うんだよ。魚美味しく食べたいでしょ。」


そう言うとレシーは


「仕方ないわね、魚が美味しくなるのね。」


「うん、そうだよ。塩とか胡椒は魚を美味しくしてくれるんだ。」


「おう、坊主。塩買いに来たのか。」


行商人は荷台の塩の壺を移動させながら声を掛けてきた。

馬車は横幅1,5m~2mの縦が4mの馬2頭で引くタイプだ。

結構な調味料を積んでる。


「うん、それもあるんだけど。おじさんはこの村にいつまでいるか教えて欲しいんだ。」


俺は行商人に燻製と干物が売れるかもしれないので交渉するために帰る日を確認した。


「そうだな、明日一日村に居て、雨が降らなかったら明後日の朝に村を出るよ。」


「わかった、じゃあ塩1瓶と胡椒を買えるだけください。」


「おう、金はあるのかい。塩は1瓶10cだよ。胡椒はそうだねこのくらいで100cかな。」


1瓶大体5kgでそれが10c、10cは1000bだから5万~10万円とかバカみたいな値段に、見えるかもしれないが、でも塩はここら辺じゃ手に入らないから、このくらいでも売れる。

胡椒の、このくらいは、麻の袋に1kg位入ってる。

胡椒はここより、南じゃないと取れないらしいから仕方ないか。


「う~ん、塩はそれで大丈夫です。胡椒は1c分でお願いします。」


俺は110cも持ってない、隠し財産はあるけど、レシーや村人の前では見せられない。

11cなら払っても大丈夫だし、レシーの服を買う金も残る


「大丈夫?私の服買える?」


「大丈夫だよ、ちゃんと服を買うお金は残してるよ。」


俺の言葉を聞いて安心したようだ。

俺は行商人に11cを渡した。


「坊主、落とすなよ。」


行商人は俺にそう言って俺に塩の壺を渡した。


「村に居る間に、もう一回行くから待っててね。」


俺は行商人にそう伝えて、その場を離れた。


「レシ姉、じゃあ服を見に行こうか。」


レシーからの返事は無かった。もう服に目がいってるみたいだ。

行商人達は、村の広場で全部まとめて馬車を止めて売っている。

すぐ近くで服関係の行商人が居るから。そこに向かった。




「どう?レシ姉、欲しいのあった?」


彼此1時間ずっと選んでる。


「そろそろ、店終いしたいんだが。」


と行商人も言ってる。

ほかの行商人は大体売り終わって皆、宿で酒飲もうと宿の酒場に帰ってしまっていた。

俺も同じ気分だ、遅くなるとフクシャに怒られる。


「これもいいけどこれも捨てがたいは。」


「両方で1着分の1cでいいからもう買ってってくれ。」


俺は1cを行商人に払って、服を2着もった、レシーを引きずって家に帰った。


「ただいま。」


「ただいま。ふふふ」


「あら、おねえちゃんはご機嫌ね。」


こっちを見ないでフクシャが飯を用意しながら言った。


俺は自分のというか子供部屋に買った、塩と胡椒をタンスの自分の段にしまった。


「まあ、そんな服買ってきたの。」


という、フクシャの声が聞こえてきた。

レシーが余計なことを言う前にフォローしないと。

俺は急いでリビングに向かった。


「今日、行商の人達が来たか」


「この間、レシ姉の誕生日だったから、僕からプレゼントしたんだ。」


レシーに最後まで話させずに割って入った。


「そうなの~へぇ、ヨーがねぇ」


フクシャはなんでこんな性格になったんだろう。

すごい疑いの目で見てくる。


「そうだよ、ヨーが買ってくれたんだよ。」


レシーがフクシャに服を見せる。

レシーも怒られる可能性に気づいたのか服のことしか言わずにその日は無事終わった。


一晩寝て次の日、俺はやることがあった。

夜明け前に飛び起きて、塩の入った壺を持って、胡椒も持って誰も起こさないようにこっそり外に出た。


「よし、今日はトレーニングより、まず魚を取って、捌こう。」


網で魚を取って、内蔵を取って、魚を綺麗に洗った。

この工程は糸の魔法で作った網で魚を取って、風の魔法で捌いて内蔵を取って、水の魔法で丁寧に洗った。

燻製で塩の使いどころがわからなかったけど、塩味は必要だと思って、洗った魚に塩と胡椒を塗りこんだ。

因みに、塩も少し粒が大きかったし、胡椒は一切挽いてなかったから一緒に風魔法で挽いた。

その後に木で作ったS字フックに、魚の下顎を引っ掛けて、燻製ボックスの上にある棒に、S字フックを引っ掛ける。

下には鉄板を置いて、鉄板の上に同じ種類の木屑を乗せる。

ボックスを閉めて、火の魔法を鉄板の下に出して、様子をみる。


いい匂いがしてきたのでうまくいってるのかな?

暇だったので、また魚を魔法を使って下準備をしていく。

干物用に作ってた、棚に乗せていく。


4回、この作業を続けて、3回、成功した。

1回はなんかジャーキーみたいになった。

残りの奴も上手くいったけど、やっぱりパサパサ感があった。

燻製は難しいな。

でも、めっちゃ美味い?めっちゃ塩辛い。

保存食には持って来いだとは思った。


これを持って行商人が泊まっている。

この村、唯一の宿屋に向かった。


「おはよう。おじさん。」


「おう、こんな朝早くどうした?配達か、なにか持ってるが。」


宿のおじさんとは、顔馴染みだ。

ギルドでいつも肉や野草を配達してるから、今日も配達と思われたみたいだ。


「今日は行商人の人達に売れないかなって思って持ってきたんだ。おじさんも一個食べてみてよ。」


宿屋のおじさんに燻製した魚の半身を渡した。


「魚か、皆が魚に飽きたから、行商人に売るのか。」


「食べてみてよ。」


「魚はもう飽きたよ、でもこれいい香りだな。」


おじさんは文句を言いながらも食べてくれた。


「どう?美味しい?」


「ああ、美味いな、でもなんでこんなに塩っ辛いんだ。おかげで酒が欲しくなった。」


「うん。お酒のおつまみでもいいし、冒険者って森では調理ってあまり出来ないでしょ。

だからね、干し肉もいいけど魚も欲しくなったら、これでいつでも食べられるでしょ。」


「干し肉は硬いが、このくらいなら食べやすそうだな。」


まあこれも日にちが経てば固くなるが、さすがに干し肉程ではないからな。


「おじさん。これ、行商人の人に売れると思う?

それとこれをこの村の名物にしたいんだ。魚の燻製って言うんだよ。」


俺の話を聞いて、すごい考えてるみたいだ、目が動きまくってるが何かを見てる感じでも無かった。


「そうだな、魚のっていうくらいだから、魚以外でも出来るのか?」


「出来ると思うよ。でも湖があるから魚がいいでしょ。」


「たしかになぁ。まあ売れると思うぞ。」


「やった。早く行商人の人達来ないかな。」


しばらくしたら階段を降りて何人かやってきたが目的の行商人がまだ来ない。

昨日の調味料の行商人がやっと降りてきたので声を掛けた。


「行商人さん、僕を覚えてる?これ、昨日の塩と胡椒で作ったんだよ。」


寝起きでか二日酔いでかわからないが子供の高い声に嫌そうな顔をこっちに向けた。


「ああ、覚えてるぞ、お前ほど小さい子供は他に居なかったからな。

それを、坊主お前が作ったのか?」


嫌そうな顔から、商人の顔に変わった。


「食べてみる?」


言った瞬間、行商人は口に入れていた。


「塩辛いが美味いな、それになんだこの匂いは、坊主これをどうしようと思ってるんだ。」


「行商人の人にこれを売ってもらって。

ここの村で作ってることを触れ回って欲しいのと、もっと塩と胡椒を売って欲しいんだ。

今はこの魚と物々交換でもいいよ。」


俺の言葉に行商人は何かを思案していた。


「坊主、これをいくらで売ろうとしている?」


「そうだね。行商人さんが1尾10b~15bで売ったとしても儲けが出るくらいに8bってところかな。」


まあ全部買ってくれたら、この値段って意味だけどね。

言わなくても全部買ってくれるだろうし

今はこのくらいの値段を提示するしかないよね。

本当は10bで売りたいけど売値が多分、このくらいになるよね。

この村で売る時は10bで売ってやるけどね。


「8bか少し」


「保存食としても使えるから冒険者にまとめ売りとかしたらいいんじゃないかな。

干し肉より柔らかいし、香りも魚の生臭さを感じないでしょ。」


少し高いって言われたら嫌だから、最後まで言わせなかったが、逆だったらどうしよう。


「1尾10bで買ってやるよ、これ全部で10cでいいか?」


「まあ、大体100尾あるから、はい、その分の塩と胡椒でください。」


10cで払おうとしたかもしれないが、俺は塩と胡椒で請求した。


「わかった、それで払うよ。」


朝食を食べ終わった、行商人が塩と胡椒を上に取りに行って戻ってきた。


「ほら、これだよ。」


1壺10cじゃなかったっけ?胡椒も昨日のが1cならこれは5cくらいある。


「多いよ、大丈夫?」


「次ぎ来る時にはもっと作ってくれるんだろ?

あと塩を売って欲しいってのは行商の回数も増やして欲しいって意味も入ってるんだろう?」


これから言おうと思ってたのに、すごいな


「1月後にお願いします。結構作っておきますので。

それとこの宿で食べられるように塩を抑えた燻製も作るので他の行商人の方にも教えてあげてください。

夜までにその塩を抑えたのも作りますし、もっと売り物用の燻製も作ってきますよ。」


俺がそういうと目を輝かせた。


「そうかこれより美味いのが出来るのか。失敗したりしないのか?」


損得の計算か、なにか考えてるのか、商人は怖いな。

素直に取れない言葉が怖い


「失敗したら、村の子供のおやつにしますよ。」


この返答でどうかな?


「おやつかいいね、俺も食べたいね。いってもいいかい?」


作り方を見せろって意味かな


「駄目ですよ、子供のおやつ食べたら。」


見せませんよって意味を込めていった


そうして、俺は塩を効かせた燻製を作って、晩飯用に塩を減らしたのも作った。

また好評で300尾売れて、それも塩と胡椒で払ってもらった。


こんな感じで、塩と香辛料の類を増やして、日々の魚獲りで稼ぐ手段を得た。

クリスマスが終わりましたね。

もちろん1人で過ごしました。

心の中は毎年25日に、雪景色ホワイトクリスマス

東京では50年以上、12月25日に雪は降って無いそうです。


読んでいただきありがとうございます

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