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雪のトランスファー

「おっ、おいおい優稀菜!」



 馬場さんと福田の真剣勝負がまさかの結末に終わり、俺は完全に動揺していた。俺だけじゃない。優稀菜を雇った馬場さん、対決していた福田とその相方など、ここにいた全員が状況を飲み込めずにいた。



「……な、なんてことだ!」



 馬場さんが声を上げる。

 さらには優稀菜に詰め寄り、襟を掴んで叫ぶ。



「貴様! なんてことするんだ! 真剣勝負に泥を塗るようなことをしやがって!」



 もうみんな気付いていた。優稀菜がわざと振り込み、ゲームを強制終了させたことに。

 今一番キレているのは誰でもない馬場さんだ。……そりゃそうだわな。 

 次にキレているのは福田。いくら自分が勝ったとはいえ、こんな勝ち方は認めたくないんだろう。会社を背負っている社長として、誰かが勝ちをわざと譲ったのはプライドが許せないんだ。

 しかし、優稀菜は冷静に対応する。



「勝負は私の負けです。約束として、私が持ってきました、三千万円を渡します。お受け取りください」

「ふざけるな! こんな負け方は私が許さん!」

「そうだ! 俺も許さん! 俺は自分の力と運で勝負を掴み取りたかったんだ! こんな勝ち方は認めん!」

「勝負は一本戦のはずです。私が飛んでしまった以上、もうゲームは続けられません。馬場さんが自分でお決めになったことぐらい守ってください。社長でしょう? 福田さんだってその条件で納得なさってたじゃないですか。自分が納得したことを撤回なさるおつもりですか?」



 ゆっ、優稀菜! なんでおまえはそんなに喧嘩売ってんだ!? おっ、おいおい! ふたりとも怒りがマックスになってんぞ! お顔が真っ赤っかだ! 血管も浮出ている!



「てめぇ! ざけてんのか!?」

「ざけてなんかいませんよ?」

「……貴様……!」

「そんなに納得なされないのでしたら、もう一回、勝負をしますか? 勝負は半荘。そちらが気が済むまでお受けいたしましょう。ルールはさっきのままで結構です」

「ふん! 望むところだ!」

「その勝負、乗った!」



 その言葉を聞いて優稀菜は静かに笑い、そしてそのまま続ける。



「ただし。勝負はさっきまでのものと隔離し、こちらのプライベートとして扱います。メンバーは私、馬場さん、福田さん、そして私の相方。……よろしいですか?」

「ふんっ、いいだろう!」

「おまえの金を絞りとってやんよ!」



 ふたりとも優稀菜の提案に賛成する。……あ。そうか。優稀菜の狙いがわかった。

 俺たちは優稀菜の指示に従い、再びゲームを再開させた。

 そして……優稀菜、いやユキの真の恐ろしさを味わうことになる。





              To be continued

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