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婚約破棄された公爵令嬢ですが、実は水の女神の娘でした~海の神に溺愛されて、王都には戻れません~  作者: 第三次ニート危機


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12/21

11話

アクセスいただき、ありがとうございます。

少し遅れました。

明日も20:00から21:00の間くらいに投稿しますので、よろしくお願いします。


「いらっしゃいませ~」


エウフェミアはいつものように客に声をかける。


「お、ミアちゃん、今日も可愛いね! 今日は数量限定メニューは残ってるか?」


「残ってますよ! 今日は、イカのフライです」


エウフェミアはにこやかに答えた。


「じゃあ、それくれ」


「はい! 少々お待ちくださいね」


エウフェミアは軽やかに厨房へ向かった。


「店長、イカフライひとつお願いします!」


「はいよー」


昼時の店内は活気に満ちていた。

船乗りたちの笑い声、皿のふれあう音、香ばしい揚げ物の匂い。

最近は以前より客足が増えている。


「しっかし、最近は本当にお客さんが増えたねえ」


料理をエウフェミアに渡しながら、店主がぼやいた。


「王都から流れてきた奴らが多いらしいぜ」

「親戚を頼ってくる者も多いって聞いたわ」


この港町は交易で栄えている。

そのため、王都に家族や知人を持つ者も少なくない。

干ばつが深刻になってからは、伝手を頼って移り住む者が目に見えて増えていた。


「王都はもう水もまともに手に入らんらしい」

「物価も高いって聞いたわ」

「昨日来た奴らは、井戸水一杯でけんかになったとか言っとった」


客たちは暗い顔で話す。

しかし、この港町にはまだ水があった。


「ここはまだ水がたくさんあるが、この調子で人が増えていくと危ないかもしれんな」

「国外に越した方がいいのかねぇ」


客たちは口々に噂をする。


「まあでも、今年の魚は獲れ高が妙に良いからなぁ」

「海も穏やかでね」

「越すのは早計かもしれんな」


客たちは悩ましげな顔で話をしていた。

その様子をエウフェミアは静かに見つめる。

王都で人々が渇きに苦しんでいる。

その事実が、胸に小さな棘のように刺さった。

彼女の近くでは、今日も小さな水の精霊たちが嬉しそうに跳ねていた。


『えうふぇみあ、すき』

『ここ、いごこちがいい』


無邪気な声に、エウフェミアはそっと目を伏せた。



*****



仕事後、エウフェミアはオーシャンを訪ね、海を訪れた。


「今日、王都の噂話を聞いたわ。人々が苦しんでいるって。わたくしは、元貴族令嬢で、民を助ける義務があるのに、こんなところにいて良いのかしら?」


海辺にエウフェミアと横並びに腰掛けていたオーシャンは、静かにエウフェミアの肩を抱いた。

夕暮れの海は穏やかだった。

寄せては返す波が、静かな音を立てている。


「……君は優しいな」


オーシャンはぽつりと言った。


「民には罪は無いわ。わたくしに出来ることは少ないかもしれないけれど、少しでも力になりたいのよ」


エウフェミアは海の音に耳を傾けた。


「……お前は、いつも他人ばかり気にかける」


オーシャンは低く呟いた。


「もっと自分のことを優先してもいい」


エウフェミアは目線を落とした。


「貴族に恨みはあっても、民には恨みは無いわ」


「……そういうところが、お前の美点だな」


オーシャンは微笑んでエウフェミアに囁いた。


「もし、本気で民を助けたいなら、いつでも言え。力になる」


オーシャンが呟いた瞬間、ざぁ、と波が大きく揺れた。

まるで海そのものが、彼の言葉に応えるようだった。


その時だった。

潮風に混ざって、慌ただしい声が響く。


『えうふぇみあ!』

『くる!』

『おうたいし!!!』


エウフェミアは、はっと顔を上げた。


最後までお読みいただきありがとうございます。

もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援いただけると励みになります。


感想もとても嬉しいです。今後の執筆の参考にさせていただきます。


引き続き、本作をよろしくお願いいたします。

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