11話
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少し遅れました。
明日も20:00から21:00の間くらいに投稿しますので、よろしくお願いします。
「いらっしゃいませ~」
エウフェミアはいつものように客に声をかける。
「お、ミアちゃん、今日も可愛いね! 今日は数量限定メニューは残ってるか?」
「残ってますよ! 今日は、イカのフライです」
エウフェミアはにこやかに答えた。
「じゃあ、それくれ」
「はい! 少々お待ちくださいね」
エウフェミアは軽やかに厨房へ向かった。
「店長、イカフライひとつお願いします!」
「はいよー」
昼時の店内は活気に満ちていた。
船乗りたちの笑い声、皿のふれあう音、香ばしい揚げ物の匂い。
最近は以前より客足が増えている。
「しっかし、最近は本当にお客さんが増えたねえ」
料理をエウフェミアに渡しながら、店主がぼやいた。
「王都から流れてきた奴らが多いらしいぜ」
「親戚を頼ってくる者も多いって聞いたわ」
この港町は交易で栄えている。
そのため、王都に家族や知人を持つ者も少なくない。
干ばつが深刻になってからは、伝手を頼って移り住む者が目に見えて増えていた。
「王都はもう水もまともに手に入らんらしい」
「物価も高いって聞いたわ」
「昨日来た奴らは、井戸水一杯でけんかになったとか言っとった」
客たちは暗い顔で話す。
しかし、この港町にはまだ水があった。
「ここはまだ水がたくさんあるが、この調子で人が増えていくと危ないかもしれんな」
「国外に越した方がいいのかねぇ」
客たちは口々に噂をする。
「まあでも、今年の魚は獲れ高が妙に良いからなぁ」
「海も穏やかでね」
「越すのは早計かもしれんな」
客たちは悩ましげな顔で話をしていた。
その様子をエウフェミアは静かに見つめる。
王都で人々が渇きに苦しんでいる。
その事実が、胸に小さな棘のように刺さった。
彼女の近くでは、今日も小さな水の精霊たちが嬉しそうに跳ねていた。
『えうふぇみあ、すき』
『ここ、いごこちがいい』
無邪気な声に、エウフェミアはそっと目を伏せた。
*****
仕事後、エウフェミアはオーシャンを訪ね、海を訪れた。
「今日、王都の噂話を聞いたわ。人々が苦しんでいるって。わたくしは、元貴族令嬢で、民を助ける義務があるのに、こんなところにいて良いのかしら?」
海辺にエウフェミアと横並びに腰掛けていたオーシャンは、静かにエウフェミアの肩を抱いた。
夕暮れの海は穏やかだった。
寄せては返す波が、静かな音を立てている。
「……君は優しいな」
オーシャンはぽつりと言った。
「民には罪は無いわ。わたくしに出来ることは少ないかもしれないけれど、少しでも力になりたいのよ」
エウフェミアは海の音に耳を傾けた。
「……お前は、いつも他人ばかり気にかける」
オーシャンは低く呟いた。
「もっと自分のことを優先してもいい」
エウフェミアは目線を落とした。
「貴族に恨みはあっても、民には恨みは無いわ」
「……そういうところが、お前の美点だな」
オーシャンは微笑んでエウフェミアに囁いた。
「もし、本気で民を助けたいなら、いつでも言え。力になる」
オーシャンが呟いた瞬間、ざぁ、と波が大きく揺れた。
まるで海そのものが、彼の言葉に応えるようだった。
その時だった。
潮風に混ざって、慌ただしい声が響く。
『えうふぇみあ!』
『くる!』
『おうたいし!!!』
エウフェミアは、はっと顔を上げた。
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