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転生魔術師令嬢は転生した未来で魔術の素晴らしさを広めたい!〜悪役令嬢になんで負けてられるか!〜  作者: 雪道 蒼細
三章 新たな厄介ごと

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【5】 すれ違い

 あの日以来、魔術部全員が集まることはなくなった。

 部活の時間になって顔を見せても部室にいるのはシルディアル。でもシルディアルを見てしまうと、あの時のことを思い出してしまうから、私は彼のことを少しだけ避けていた。

 それについてシルディアルはどうこういうことはない。

 そしてルリアンも何故か部室に顔を出さなくなっていた。

 授業には出ているだろうが、私は授業中、基本下を向いているので分からない。

 ずっと前世のあの記憶を思い出してから、忘れられない。あの感覚を。今まで前世の記憶を思い出しても、ここまで感覚を思い出すということはなかった。

 (それか強いトラウマは心に残りやすいのか‥)


 あと、魔術に関わらなくなったからか、以前よりクラスの人が話しかけてくれるようになった。


 話せるようになった。だけど、、、。


 これって私?


 せっかく転生したのに、好きだったものを誰にも邪魔されずにできるのに。


 前世みたく魔物を倒すために魔術を使うわけじゃないのに。


 魔術をやらなくなって。


 普通に学校生活送って。


 それって私が転生した意味あるのかな?


 私、やりたいことするんじゃなかったの?


 これじゃあ私じゃないよ。


 でも…魔術は…もう人に向けたくない。


 私はどうしたらよかったの?


 「誰が・・教えてよ・・」


 私はそう呟くと、ベッドで体を縮こませた。

 今の私は弱い私だ。


 * * * *


 あの日以来フローレが話しかけてこなくなった。避けられている気がする。

 そのせいで、あの時何があったのかもよくわからないままだ。(まぁ、ロルフには探らせているが)

 

 「どうしたら、フローレが元気なるんだろう」


 俺はフローレに笑っていて欲しいだけなのだが。

 俺はそのことばかり考えながら歩いていたせいか、後ろに誰かが立っていたことに気づかなかった。


「やぁ。シルディアル君?」


 急に声をかけられ、俺は後ろを振り向く。


「…お前誰だ?」

「さぁ?」


 身長は170センチほど。若草色の髪色だ。

 何となく無害そうな笑顔を向けてくるところが胡散臭い。

 侍従服を着ているところから、誰かの従者なんだろうが・・。

 俺が警戒心をマックスにして男を見ていると、男はなし出した。


「君に良いことを教えてあげようと思ってシルディアル君。いや、モルガ君?」

「…!!」


 なんでこの男がその名前を知っているんだ?この世界の人には誰にも教えて事なかったのに。


「何で分かったって顔だね?まぁ見たのは僕の主人なんだけど。…まぁいいや。それでね、僕知ってるんだ。君のせいで君の大切な人が死んだてこと」

「それ‥は」


 心臓がドクドクとうるさい、手から冷汗も出ている。

 落ち着け。この人が全て知ってるわけじゃない。そうだ。落ち着け‥。

 だが何故この男は俺の。俺の過去を知っているんだ?


「ねぇ。僕、このことフローレ嬢に話しちゃおっかな」

「・・!やめてくれ!!!」


 俺は思わず大声でそう叫んでしまった。

 でもそんなこと気にしてられない。

 きっとフローレは俺のやったことを知れば幻滅するはずだ。

 もう今のように話してくれなくなってしまう。

 それだけは嫌なんだ。

 せっかく平和な世界で、再び話をすることができてちるのだから、それだけは壊したくない。

 

 ーー俺はフローレが9歳の時、前世を思い出したことを知っている。

 その時はまだ俺は思い出してはいなかったが、フローレが前世を覚えているということは、この男が俺の過去の話をしたらきっとフローレは。


 「・・・」

 「あれ?黙っちゃうの?」


 あぁ。ずっと黙ってたいよ。というか、ずっと黙ってるつもりだった。

 でも話さなくちゃいけないこともわかっている。このままじゃフローレを騙しているということも。

 (でも、それを話すのはお前じゃない。俺だ)

 

 「・・どうしたら言わないでくれるんだ?」

 「僕話の理解が早い子は好きだ。そうだね、魔術部のショーの中止が条件だ」

 「!そ、それは・・」


 魔術部のショーが中止。

 フローレやクレーシー嬢が作り上げた物が中止?

 なら俺はフローレに過去を話した方が?

 だが・・。


 「まぁまぁ、よく考えてみなって。どうせフローレ嬢もルリアン嬢も魔術部に来ていないんだろう?なら魔術部のショーは出来っこない。僕はただ念には念をと思って君に話しかけただけだし。、、、で?どうする?」


 男はそういうとニヤニヤと笑い出した。

 どうせ俺の答えが分かっているんだろう。

 でもこの男の言う通り魔術部のショーは出来っこない。だってみんな部活にこねぇし、フローレだってあんなんだ。だから魔術部のショーはきっと出来ない。

 出来ないと思い込んでいる自分も嫌だが、現状が全てを物語っている。


 「・・・魔術部のショーを中止にする」

 

 俺はそう言った。


 男はその回答に満足したのか、俺が顔を上げた頃にはもういなかった。


 「・・ごめん、みんな」


 俺はそう誰もいない廊下でポツリと言った。



 このことがきっかけかは分からないが、そこから魔術部の溝は深くなってった。


 俺もフローレとも話さないし、クレーシー嬢なんて顔も見ない。


 なんだが昔に戻ってしまった。


 全てが無に帰ってしまった。


 



 

なんと10月のPVが1000を突破しました!(投稿して一か月で1000PVを超えるのは私の作品史上初めてです)なので一人で騒いでいました。

いつも読んでくれている皆さま本当にありがとうございます!!

* * * *

短いですが三章はこれで終了です(一話前でも書きましたが恐らく修正入ります。11月の頭には少し時間がとれるので加筆しようと思っています)次回からは15歳のフローレ達です。

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