神が去った社
「ねぇ、凛、慧さん。せっかくの休暇中に大変申し訳無いんだけど.......」
「え、どうしたの?」
朝食の後、色季は台の上で深深と頭を擦り付けた。皿を片しに掛かる使用人達が目を丸くし、一斉に此方を見る。そりゃ一族の惣領が、んな事したらそうなる訳で。
兄貴もあたしも驚いて、無理矢理色季に顔を上げさせた。文脈見る限り、過去に起こった事の謝罪をしている訳じゃない。これから起こることを懸念して願い出ている。だからそこまで謙る必要はない。
とりあえず、話を聞くために目を合わせる。申し訳無さそうな色季の顔が目に入ったが、咎めること無く返事を待つ。すると真一文字に引き結んでいた口をおずおずと開き出した。
「昨日、□□辺りで人が消えるって話が舞い込んで来て、朝行ってみたのね」
「うん」
「でも相変わらず何の気配もないの。神様の気配も堕神の気配も」
□□辺り.......。あたしの思い出がある場所。あの一時の夏祭りは生涯を掛けた大切な場所だ。一度色季から目を離し、兄貴を見る。兄貴は厳しい表情で、束ねられた髪に指を絡ませていた。再度彼女を見る。彼女も問題解決に至らない事を酷く気にしているようだった。
色季はやっぱり真面目で普通の子ですねー。
人様の家で平気でイチャついてるんだから、もっと怒っても良いのに。
そう思って見てます。




