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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第20章 探求と暗躍
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暗躍する者たち51

しかしいつまでも何も行わないのは問題だ。


そのため主の女性が納得したところで、ツクヨミが話に割り込み急かしてきた。


「主様、お話し中失礼いたします。

今この時も制限時間は刻一刻と迫っております。

まだ残り時間に余裕はございますが、そろそろ本腰を入れるべきだと具申いたします。」


これに主の女性は異を唱えず同意する。


「ツクヨミの言う通りだな。

アシュラ、私にも武器を。

出来れば槍を頼む。」


主の女性からの要望に、アシュラは神袋ブラフマーに手を突っ込むと、中から一本の槍が出てきた。


「了解だよ。

さーってと、何が出るかな・・・おっ、これは結構当たりだね。

神器、聖槍ロンゴミニアド、だね。

特に貫通に特化した槍だよ。

主、これでいい?」


当然、主の女性に断るという選択肢は無かった。


「では、それを借りよう。」


「じゃぁ使用権限を一時的に主へ貸し出すぜ。

はいよ、主。」


主の女性はアシュラから槍を受け取ると、握りの感触を確かめてから、何度か軽く突いてみる。


「うむ・・・ふっ!ふっ!・・・いい槍だ。

二人とも少し下がっていろ。」


「承知いたしました、主様。」

「承知した、主。」


二人が自分の邪魔にならない場所へ下がったのを確認してから、主の女性は槍を構える。


その姿は熟練の槍使いといっても差し支えないほど見事なものだった。


「まずは肩慣らしだ。

・・・はっ!」


そして僅かに溜めの間を置いてから、壁に向かって勢いよく突きを放った。


しかしこれまでと同様に、壁は傷つくどころか槍と接触した際の音すら聞こえてこない。


ただ主の女性に悲観した様子は一切無かった。


「やはりこの程度では駄目か。

ならば、今度は全力で行かせてもらおう。

・・・はぁぁぁぁぁ・・・」


主の女性は壁から少し離れると、目を閉じて全身を引き絞るように力を溜めながら槍の切っ先に力を集約する。


そして目を開けた瞬間、弾けるように地面を蹴ると、槍を突き出しながら一体となって勢いよく壁に突進した。


「・・・はっ!」


あきらかに最初よりも鋭く重い一撃であったことは間違いない。


だがそれでも壁は微動だにせず傷一つ付かなかった。


同時に主の女性は勢いを完全に殺されてしまい、壁に槍を押し付けているだけになっていた。


これにはさすがの主の女性も、先程までの余裕の表情が消えてしまった。


「ばっ、馬鹿な・・・」


そこへ後ろから声が発せられる。


「主様、まだでございます!」


ツクヨミだ。


その両手には、いつの間にか一振りの剣が握られており、上段に構えながら勢いよく壁に向かってきていた。


それを見た主の女性はすぐに状況を察して、ツクヨミの邪魔にならないように横に飛び退く。


そして誰もいなくなった壁に、ツクヨミが全力で剣を振り下ろす。


しかしこの剣での一撃でも、主の女性の槍での一撃と同様に、壁は微動だにせず傷一つ付かない。


どうやら武器による攻撃であったとしても例外なく、発生したありとあらゆる威力は、その全てを壁に吸収されてしまったのだろう。


だがこれで終わりではなかった。


ツクヨミは振り返ることなく、すぐに主の女性とは反対側へ飛び退く。


そこへ今度はアシュラが、間髪入れず壁に向かって突進してくる。


その両手には棍棒が握られており、ツクヨミの一撃と同じ場所に向かって横に振った。


本来ならアシュラの重い一撃は、部屋全体を揺らしてもおかしくない威力であることは誰の目にもあきらからかだ。


しかしそのアシュラの一撃でも壁は微動だにせず、傷一つ付くことはなかった。


この結果に主の女性は、更に動揺を隠せないでいた。


だがその一方で、ツクヨミとアシュラは違っていた。


攻撃を終えた二人は、すぐに壁へと近づいて状態を確認しながら冷静に、だけどどこか楽し気に分析を行っていた。


「見事に傷どころか、何の跡さえも残っていないのでございますね。

ですが、ここまでくると自信を無くすよりも、逆に感心してしまうのでございます。」


「私も同感だよ。

更に未知の素材と技術を前にして、自分がここまで心躍っているのにもビックリだよ。

知らない、とか、わからない、ってことが、ここまで気持ちが昂るなんてね。」


「それはすごくよくわかるのでございます。

創造主に生み出された私たちは、必要最低限の知識のみ学習しましたが、すぐに休眠してしまったのでございます。

その後はアカシックレコードシステムによる情報から、多くの知識を学習する機会には恵まれたのでございました。

しかしその一方で、実践による経験が全く無いのも事実でございます。」


「そうなんだぜ。

でも今はこうして自分の身体で動けるから、データ上のシミュレーションでしか経験してこなかったことが、実際にできるのがすごく新鮮だぜ。

仮想と現実は全然違うってことを、こうして体験できるんだから、やっぱりおもしれーぜ。」


そんなある意味はしゃいでいる二人に、主の女性が不思議そうに尋ねる。


「お前たちは、今この状況に絶望したり、私に対して不甲斐ないと思うことは無いのか?」


主の女性の問いに、二人は不思議そうな表情で逆に聞き返してきた。


「何故でございますか?」

「何故だ?」


まずは主の女性が二人の質問に答える。


「それは・・・あれだけ自信満々に息巻いておきながら、実際の結果はこの体たらく。

主として私は・・・お前たちに相応しくないのではないか、とな。」


これに対して、ツクヨミとアシュラは態度を変えることなく、自分たちの考えを答える。


「私にとって主様は、何があろうとも私たちの主様でございます。

それはこれまでも、そしてこれからも変わることはございません。

たとえ主様に拒絶されようとも、私は最後までお供させていただく所存でございます。」


「ツクヨミは固いなぁ。

まぁでも、私もツクヨミと同じ考えだよ。

主は私の主以外の何者でもないからね。

だからどこまでも一緒だよ。」


真っすぐな目でそう答えた二人を、もう主の女性が疑うことは無かった。


「ツクヨミ、アシュラ・・・そうか・・・では改めて、これからもよろしく頼む。」


その思いは、二人にも伝わったようだ。


「はいっ。」

「おうっ。」


笑顔で短く返事をしただけで、それ以上は三人の間には不要だった。


しかしいつまでもその余韻に浸っているわけにもいかない。


主の女性はすぐに意識を切り替えて、現状の問題に向き合った。


「さて、気を取り直して、二人とも壁を調べていたみたいだが、何かわかったのか?

些細なことでも何でも構わない。

今は少しでも情報がほしい。」


二人も主の女性の意思に従い、現状の分析結果を答える。


「結論から申し上げますと、私たちの知る知識の範疇外の物であることがわかった、だけでございます。

まさか渾身の一撃で無傷とは、いまだに信じられないのでございます。」


「私も破壊できないのはともなく、傷一つ付かないのは完全に誤算だ。

正直今のところ打つ手無しだ。」


「そうか・・・それぞれ全力の一撃が何の効果も無かったのだからな。

そう考えてしまうのも仕方のないことだろう。

ならばここで降参するか?」


八方塞がりの状態であるため白旗を上げるか問うと、二人からは即答で拒絶された。


「それは無いのでございます。」

「それは無いでしょ。」


当然、今の主の女性も二人と同じ意見だ。


しかし無策で続けるのであれば、ただの時間の無駄になってしまう。


僅かな攻略の糸口でもつかめないかと、主の女性は二人に意見を求める。


「ではどうするかだが、何か考えはあるか?」


「確かに私たちは、それぞれが全力の一撃を放ったことは間違いございません。

たとえ他の武器、この天之尾羽張(あめのおはばり)よりも攻撃力の高い武器を使用したとしても、大きな違いはございません。

おそらく私たち個人が時間内に劇的に成長でもしない限りは、同じ結果になると思われるのでございます。

現時点でクリアは困難でございます。」


「私もカウモダキ以上の武器はあるけど、どれを使っても結果は変わらないと思うぜ。

でもそれは今の時点での話だぜ。」


「そうでございますね。

やれることは残っているはずでございます。

まだ時間は残っているのでございますから。」


「今は無くとも、いろいろ試すことで何か解決策が見つかるかもしれない。

だから、たとえ泥臭くとも最後まで抗うべきだ。」


諦めない姿勢の二人に、主の女性も同意する。


「同感だ。」


「ですが現実として、そのための具体的な方法が、今のところ何も思いつかないのでございます。

不甲斐ない従者で申し訳ございません、主様。」


「主は何か思いつくことはあった?」


逆に二人から問われたが、主の女性も同じような答えしか用意できなかった。


ただし一点を除いて。


「私も今できることをいろいろと試すくらいしか思いつかない。

とにかく今は、やれるだけのことをやるしかないだろう。

だがそれとは別に、一つ保険としての考えはある。」


「保険、でございますか?」


「それってなんだ?」


「あくまでも失敗した場合の話だ。

だから今は考えず、クリアすることに集中しろ。

いいな?」


「承知いたしました。」

「了解だ。」


「とにかく今は時間まで攻撃の手を止めずに続けてみるぞ。

だが途中何か良策があれば都度報告をしろ。

試せることは何でもやるぞ。」


「はいっ!(×2)」


その後気合を入れなおした三人は、さまざまな方法を試していった。


しかし一向に壁は傷一つ付かず、時間だけが無情に流れ、制限時間が刻一刻と迫ってくるのだった。

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