運命はひらひらと
はじまるのは狂乱
英雄より産まれし狂乱の女帝はすべてを欲しがる。
それは永遠という命を
理というルールすらをも越えて
ただ欲しいものを奪い
欲望のままに咀嚼する。
同じく永遠に生きる父と終りなき戦い
時に壊され
時に壊し
長い時間戦い続け
今の時代に目覚めた。
「……300年かしらね、だいたい眠っていたのは」
寂れた城、忘れ去られた城内の棺から美しい紅い髪の少女は立ち上がる。
「そうだね、マスター」
隣にいるのはメイド服を着た黒い眼帯をつけたどこか虚ろな灰色の髪の少女。
どちらも美しく素晴らしい表現しえない美少女だ。
「パパともう3000戦くらいしたかしら、それでも2000敗くらいしてるけど」
「マスターパパ、なんだかんだ優しいから」
「そうね、でもそんな優しいパパだからこそ、いじわるしたくならない?ママなんてもう英霊の座についちゃって、パパの使い魔になってるみたいだし、ママにも嫌がらせしなきゃいけないわよね」
「歪んでるわね、マスター、僕はそんなマスターが好きだけど」
「私も好きよ、サマンサ、だから、また世界で遊びましょう、人間達は相も変わらず争い続け、人口を増やしてまた世界を退屈なものにさせているわ」
「でもマスター、今回は少し違うみたいだよ」
「そうね、使命を持たない転生者がこちらにきたみたい、でも勇者の救済者という役割もあるみたい、面倒そうね、でも男の方はすごく美しい男よ」
「そうだね、マスター、妻も娘もいるみたいだけど、僕等には関係ないね」
「そう美しく強いならばねじ伏せて私の愛でる者にしてしまえばいいわ、だって欲しいのだもの、眠りの中で見つけた宝物、あけてみたいじゃない」
「そうだね、貴女が滅ぶ先は想像つかないけれど、貴女が滅びたとしても僕は仕えるよ」
「あら!うれしいわ、ではまずは思念体のあの龍を起こしましょう」
「マスターパパ嫌がるね」
「まだまだ娘の我儘にかまってもらうわ、私パパとママも大好きでいじめたいの」
「加虐体質ってやつね!」
「そうよ、さあ、折角目ざめたのだから、まずは軍事国家でも潰しましょう、世界の安寧を願い武力で必要悪を担うあの国を」
「そうだね、僕等は夢の中で多くの事を知り現実にできるもの」
二人の美少女、狂乱の女帝オリジエル=グラントと従者サマンサは眠りおちていた廃城を後にする。
その三日後、世界の抑止力と名高いとある軍事国家が消失した。
とある東方の国
茶屋にて品のいい黒いスーツを着た黒いハットを着た異邦人の老人が新聞を見ながらため息をつく。
「……やれやれ、目覚めた早々によくやるものだな、我が娘よ」
軍事国家消失の記事を見ながらため息をつくと同時に茶を啜る。
老人……永遠の時を生きる初代勇者アギエル=グランドは再び立ち上がり
「我が国もどうやら間違った覇道を進んでいるようだし、戻るとするか」
そう呟くと同時に勘定を済ませ姿を消す。
「軍事国家リキュレー消失ね、見事にクレーターだわな」
白い髪の着物を着た身の丈の大きな大刀を背負った優男がふむと頷く。
「この魔力残滓ってのは明らかに古代系の禁忌呪文やねえ、こりゃ師匠の馬鹿娘が起きたかね」
「あら、お姉ちゃんにそれはないんじゃない?まあ力を抑えているから、今は貴方の方が姿は年上かもね、ねえ、不死者であり光の力を宿す異端者ミツルギ」
「……オリジエル姉、居るんならいってくれや、知らぬ仲じゃあるまいよ」
「嫌よ、王国の光帝までのぼりつめた貴方に何の策もなくしたら面倒じゃない」
「サマンサは……ああ、服でも買いにいかせてんのか」
「そうねえ、その時代ごとに良い服はちがうし、お金はてにはいったしねえ」
「相変わらず我儘だこと」
「あら、貴方はなんだかんだ、義弟だし、こうして挨拶しにきたんだから喜びなさいよ」
紅い髪と紅い眼の美少女はクスクス笑う。
「それより、レイ=シルベリアって貴方とも友達よね?」
「おいおい、あそこは新婚だぞ、目をつけるのはやめてくれや」
「いやね、壊さないわよ、普通にお嫁さんもかわいらしいし、喰うわ」
「両方いけるもんな……マジで勘弁してくれよ」
そう言うとミツルギと呼ばれた男は大刀を構える。
「眠気覚ましにいいわね、遊んでちょうだい」
クスクスとオリジエルは紅い剣を振りかざすと笑いだす。




