ホワイト先生2
こうして家族に等しい友人達も先生と迎え、村も活性化し、昔ながらの問題も解決しましたが、もう一人だけ種族がいる。四神よりも強大な力を持つ龍脈を操る四神の力を凌駕する存在。大地の化身ともいうべき存在。黄龍という存在がある。全てを兼ね備えたはずの種族の男は今、ホワイトの治める島へときていた。
東洋の中華服に身を包み、その巨大な体躯を惜しげもなく存在させ、金色の髪を後ろに束ねた歴戦の猛者の風格を宿す男はその地に降り立つと同時にふむと頷く。
「……少年達、そこまで怯えないで欲しいんだがな」
苦笑しながらにこりと笑う。そうは言うが目の前の巨大な雰囲気を纏う男に子供達に怯えるなというのも実に無理な話だろう。
「ロン兄さんは、馴れるまで時間かかるんですよ」
「おお、ホワイト、久しいな、旅のついでに寄ってみたところだ」
長兄と呼ぶべき四神を越える黄龍ことロンは破顔をしてこたえた。
人間世界で冒険者として活動しているのは玄武のゲンと黄龍のロン。
玄武は最強の傭兵の一人として。
ロンは至高の武芸者として。
他の三人はホワイトのように島を守ったり、ただの人間達と混ざり町に住んだりをしていたのだが、ホワイトが町をつくったことにより流れるように五人は集った。
「この街はよい町だ、特産物もうまいし」
「ああ、レイ君がレシピを色々考案してくださいましてね」
目の前にあるのは和食料理の定番である、天ぷら蕎麦、こちらの島では季候的にはあまりあわなそうではあるが、蕎麦の風味に似た灰色の木の実が確認されている。それを知ったレイが独自に製粉をし、蕎麦にしたところ実にのどごしのいい蕎麦になり、醤油はこちらの世界でも確認されていたので醤油とかつおに近いとある魚を代用し、風味と味の向上に成功。多様な魚も多くとれる事もふまえて海産物を利用して揚げる天ぷら料理が採用され、今に至る。
「異世界の料理というわけか」
「ロン兄さんは気付いてたのか?」
「異世界からの異邦人ってのは稀ではあるがないことじゃねえからな、かつて東方諸国を平定したグランド帝国の初代帝王も異世界人て話であるし、特性として不死も備わってるって話だ、今も尚、子孫に玉座を譲ったものの世界を旅し仇成すものを倒しているという話だ」
「……竜殺しの[アジエル]ですか」
ロンは蕎麦を啜りながら頷く。
「基本的には友好的なジジイだ、こちらがなんかしなければ脅威にはならないさ、まあ戦闘狂ではあるがな、確か日独のハーフっていったか、あちらの世界の国同士の混血らしい、基本的に勇者や聖人召喚なんてのは日本人という血筋と相性がいいらしいが、ある意味イレギュラーな召喚らしくて奴に備わる特性は化け物じみていたってのもあるがな」
「……異世界人が持つ異能は今もこの世界では重宝されてますしね」
「ああ、世界を統一しようとする馬鹿者達が、狂化なんていう特性を後付けして国が滅んだという話も聞くくらいだ」
「……かつてあって異世界人の少年がいっていたげえむという物語にも似たような話を聞きましたね」
「げえむってのは確かデミムーア商会が再現していて、なかなか好評らしいな」
「よくやりますね、彼女も」
「まあきをつけろよ、ホワイト、平穏な時ほど世界は混迷に変化していく」
「わかってますよ、今のこの世界は[魔力]に満ち過ぎている」
「恐らく[邪神]とやらの前兆だろうよ、俺達の前任の[守護獣]達が封印したはずのな」
ロンはにやりと笑う。
「護りますよ、俺はもう護るべき人達を手に入れた」
「……それでいい」
ロンは優しく微笑んだ。




