デート
案外お似合いの二人
「わ、悪い、待ったか?」
「い、いや私も今きたとこだ」
いつもと違ったスーツを着たガイと私服のジーンズと白いワイシャツを着たミサトがそこにはいた。
遊興都市マリエ―ル。
クロノス王国から馬車に乗り一時間観光に特化したこの街で二人のデートははじまる。
昨日
和楽にて。
「しかしマリエ―ルのプラチナチケットとは奮発したね」
珈琲を啜りながらジーニアスはははと笑う。
「おうよ………稼ぎの7分の一飛んだぜ」
「ガイさん………この前ランクオーバー7匹狩ってませんでした?」
レイは食器を拭きながらクスクス笑う様を見ながらシンヤとマモルはジークに声をかける。どうやら年の近い三人はすぐ意気投合したらしく仲良くなったらしい。
「なあジーク………そのチケットってやばいの?」
シンヤは賄いのハンバーグを食べながら話す。
「ああ、王族でも取れるか取れないかわからないチケットだな………白金貨10枚で枚数限定だ、だからあの兄ちゃん余程気張ったぞ、相手は誰だろ」
ジークは柑橘系のパイポを吸いながら呟く。
「相手はミサトさんらしい」
マモルは賄いの海鮮丼を食べながらムシャムシャと言い返す。
「………ミサトさんか、上手くいくといいな」
「………拳で語る系だろ?大丈夫かよ?」
「………さあ?」
「よし、少年三人はしばく」
「ミサト姉さんどうしたの?」
「あら、ミサトさんが物騒になるなんて珍しいです」
ミサトの仕事を看護服で手伝うエアリスとシゼリア。どうやら二人も仲良くなれたらしい。
「うーん直感でね………まあいいや、二人とも今日はあがっていいよ、明日は用事あるんだ」
「うん」
「わかりましたわ」
二人は頭を下げると診察室から出て行った。
「………しかしデートねえ………どうしろってんだ」
産まれてこの方まともなデートなんてしたことないミサトの手にプラチナのチケットが握られている。
そして当日。
「ここは、なんか映画とか面白いのやってるみてえだ、一緒にいかねえか?」
「そ、そうだな、任せるよ」
二人はぎこちなく人がにぎあうテーマ―パーク内を歩く。
「………全くガイもデートはからきしだの」
「つうかルビーさん満喫してますね」
ポップコーンを頬張りながらシンヤにつっこまれるルビー。
「まあいいではないかあー、私のツテで入場できたんだし?それにガイとミサトのデートなんてなかなか見れないしなー、それに私のデートもできるしな!なっマモル!」
「………ああ」
「………てか雷帝さんといつの間にお付き合いしてたの?」
「………シンヤ………俺は年上が好きだ!」
「………そうだよ、お前理由なんてねえよな、一目ぼれしたらそうなるよな」
長い付き合いのシンヤはははと苦笑をする。
「まあいいじゃないか、丁度ペアはおるし楽しもう」
ルビーの言葉にシンヤは頷き楽しむ事にした。
ちなみにペアは
ジーク・エアリス。
シンヤ・シゼリア
ルビー・マモル
レイ達はそれぞれ仕事があるために辞退をし様子を教えてくれと頼まれていた。
「意外とホラー苦手なんだな」
「うるさい………」
涙眼でガイの腕にへばりつくミサトを見ながらガイは優しく微笑む。映画を見に来たのはよいもののホラー映画しか空きはなく様子のおかしいミサトを気遣って時間を空けて来ようと提案したのだが彼女は頑として見る事を譲らずに見た結果………案の定。
「………少し休むか」
「………うん」
こうなった。
同時刻
和楽。
「今頃楽しんでいる頃ですかね」
「そうだね、若いって事はいいことさ」
「貴女も若いでしょう」
ゼファーはキュウリのぬか漬けと冷酒を呑みながらレイとの会話を楽しんでいた。
「二十代を過ぎたら十分年さ」
「………それは僕にも当てはまりますけどね」
レイはクスクス笑いながらイカの刺身を取り出す。
「行きおくれ同士一緒になるのも悪くはない」
「………酔うには早いですがね」
「………大真面目さ」
ゼファーの瞳に妖艶な色気が混じる。
「………ミサトみたいに初心でもないだろう?」
「………まあ………あの子はまだ恋愛関係は子供ですからね」
ゼファーの顔がレイに近づき唇に触れる。
「………私は君が欲しい」
「………普通は男が言うものですけど」
レイは苦笑しながらゼファーの唇を奪い抱きしめる。
「………僕はファーストネームがない男ですよ?」
「こちらは忌みきらわれる解剖医だよ」
「………悪いですが貴女を傷付ける人は容赦しませんよ?」
「………それはありがたい」
「………どうやらお互い一目ぼれという認識で?」
「それでいいさ」
「………店をしめます」
「………急展開だね、でもそれがいい」
「………ええ、大人の時間です」
和楽に本日休業という札がかけられる
「このまま飯にするか………ここの喫茶店飯も美味いらしいぜ」
休憩のために入った喫茶店でメニューを開きながら声をかける。
「そ、そうだな!お腹減った!」
「お、おう腹減ったな!!」
「どこの学生カップルだ」
「まあまあルビーさん」
「俺はマモル達の飯の量にびっくりだよ」
「………多いね」
「いつもの事だよ、なあシゼリア」
「う、うん!シンヤ君!」
ルビーとマモルの山盛の量を見つつシンヤとシゼリアの会話を聞きつつエアリスの頭を撫でつつジークは遠目に二人の様子を見ながらふうとため息をついた。
「(闘いばっかの人生にしちゃ上手く気遣えちゃいるがミサト姉なんてしどろもどじゃねえか、どうなんだ、このデート、つかシーフードむちゃうめえ………あーきちゃなんねえイベント来たよ)」
ジークはとある魔力を感じると皆に気づかれぬように障壁を張る。
「はい!!皆様お食事中失礼致します!!革命組織[ヨアケゾラ]でございます!!皆様には人質になってもらいますよ!!」
武装した集団が喫茶店に飛び込むと同時に一人が宙を舞った!!
「………おい、ミサト?」
拳を構えたまま魔力を過剰放出するミサトにガイは声をかける。ミサトは怪しい笑みを浮かべながら一人一人吹き飛ばしていく。
「………今日は頑張ってメイクして服もなるべくナチュラルに決めて………」
拳に極大の魔力が巻き込まれていく。
「………もしかして?[拳の神医]?」
「………我奉ずるは巨大なる覇の力………悠久より来たりて破壊の拳………我放つは剛の一撃!![破壊の極撃]!!」
声にならない叫びと共に最後の一人は軟体動物のようにひしゃげていく!!
「………この物語の初詠唱がえげつすぎる件」
メタ発言をしながらジークはため息をしつつこっそり治癒魔法をかけておいた。ちなみにルビー達は危険がない場所へ避難済。
その後来た警備隊に引き渡した後、どこか涙眼のミサトを見ながらガイはふうとため息をつく。
「………ミサト、今日は見せたかったもんがあんだ」
そう言うと手を引きとある場所へと向かう。
「さてこれからは野暮ってもんだな」
ジークはそう言うと肩を竦めてルビー達に声をかける。
「それぞれ最後はばらけて楽しもうぜ」
ジークの提案にそれぞれ頷きを確認すると同時に散っていった。
「この街の最大のイベントってのはな、どでかい花火なんだ」
ガイはそう言いながら街の外れへとミサトを連れてくる。
「まあイレギュラーもあったが………間にあったし万々歳てとこだな」
大輪の華が弾けて散る。
「………ミサト………多分俺はお前よりもよえーが」
「うん」
「会ってそんな一年もねーが」
「………うん」
「………俺はお前が好きなんで………つきあわね?」
「………私もあんたが好きよ………だからリードしてよ?」
ミサトは顔を紅くしながらガイを見る。
「………勿論………」
ガイはにこりと微笑みミサトの手を握った。




