第2話 石ころ拾ったら英雄に?!
エリーゼに手を引かれたままパスはハルモニア城に入った。
そこには沢山の兵士が警備、巡回している
パスは初めて見る光景にキョロキョロする
まるで田舎の人が都会にやってきたように
エリーゼは客間のドアの所で止まりパスの手を離しドアを開ける
「わたくしは少々着替えて参りますのでこちらで少しお待ちください。準備ができましたら案内の者を寄こしますので大広間におこしくださいね」
エリーゼはそう言うと礼儀正しく頭を下げて自室へ戻っていった。
パスは言われたとおり部屋の中に入る。
「しかし、客間にしては広すぎだろ…」
客間に通されたはずなのにまるでまるでオフィスの会議室かのような広さの部屋だった。
整頓されていて埃一つ無い程綺麗に掃除されたその部屋のなかには椅子と大きな円形のテーブルがあり
お茶やお菓子が用意されている。
恐る恐る部屋の奥に行き椅子に座る
「お、落ちつかねぇ…」
パスは若干の居心地の悪さを感じるも目の前にあるクッキーに手を伸ばして一枚食べる
「普通にうまいしこれ…」
しばらく客間で待っていると案内の兵士がやってくる。
「エリーゼ姫のご準備が整いましたので大広間へご案内致します。」
パスは椅子から立ち上がり兵士の後をついていく
大広間に向かうとハルモニアの騎士たちが並んでいた
広間の真ん中まで案内されるとそこに座るように言われた。
パスは言われたとおりそこに正座する
それを見た眼鏡をかけスーツに身を包んだ女性は行った。
「姫様、お入りください。」
「はい。」
凜とした声が通るとその後に先ほど聞いた穏やかで落ちついた声が聞こえる。
エリーゼは正装をして壇上から姿を現した。
「お待たせしましたパス様。ようこそ我がハルモニアへ」
エリーゼは優しい笑みを浮かべ、パスを見て言った。
「それで、俺は何をすればいいんだ?この英雄の輝石・・・って言ったか?これって何なんだ?」
パスの言葉を聞いたハルモニアの女性騎士団長であるナスターシャ・エルステラが口を出した
「貴様!エリーゼ様になんて口の利き方だ!」
クールな彼女が珍しく感情的になったらしくほかの家臣たちは慌てている。
「ナスターシャ。良いのです・・・私が許していますから」
エリーゼは怒るナスターシャを治めるとパスの前にやってきてその場に座りパスと同じ目線になる。
「パス様にはこれから真の英雄となるために冒険者となって欲しいのです。」
「なるほど、いくら英雄だからといって最初から強いわけではないのな。」
「はい。ですがこの輝石を持つパス様には英雄の加護が付いていますのでご心配は要らないかと」
パスは懐にしまった英雄の輝石を取り出す
英雄の輝石は割れる前は野球ボールほどだったのに姿を表したときには手のひらサイズになっていた。
「取り合えず冒険者として依頼をこなしていけばいいのか。まぁ普通の勇者様と変わらないな。」
「そうですね。ですが、この世界を支配しようとする魔王ソリダスの魔の手が迫っています。その英雄の力を開花できるように私たちも協力します!」
エリーゼはパスの手をとり自分も協力すると誓う
「ではまず、パス様には英雄ギルド【ストレンジラブ】に行っていただき登録と装備を調えて下さい」
エリーゼにそうに言われたパスは謁見を終え
ギルド【ストレンジラブ】に向かい冒険者登録をする。
「ここがストレンジラブか…怪しい店かと思ったが随分活気あるギルドなんだな」
ラブと付いているだけで怪しく感じてしまう辺りはパスも年頃なのだろうというのは内緒である。
ギルドに入るとパーティーを組んだ冒険者たちやソロで活動している冒険者たちが情報共有や掲示板に張り付いて依頼を見ていた。
そんな時一人の男に声をかけられた
大柄な男だが何処か知的なところがありそうな男だった。
「お前は新人冒険者か?俺は、ヒューリー・ストレングスだ。よろしくな」
ヒューリーと名乗った男は手を出し握手を求めた
「蓮・・・いや、俺はパスだよろしく」
別にオンラインゲームではないのだが本名を隠してあだ名であるパスで貫き通すつもりでいたようである。
「よろしくなパス。俺はこう見えても生物学を学んでいてなこの王都の学院の生物学科の出だ。」
ヒューリーは生物に詳しいようだ。
これからの旅何かと世話になるかも知れないと思ったパスだった。
そんな時パスの上着のポケットに入っていた英雄の輝石が光る
慌てて取り出すパス
それを見たヒューリーは一瞬何かを思ったようにピクリと反応する。
「変わったものを持っているな。宝石か?」
「あぁまぁね。」
パスは英雄の輝石と一言も話さなかった。
それを見たヒューリーは小さく「なるほどな」と呟いた。
「しかしここまで光る宝石があるとはなぁ。鉱物にも色々あるようだ」
ヒューリーは大きく笑った。
パスは光が収まった英雄の輝石を再びしまう。
「とにかくだ。パスお前は一人で依頼を受けるのか?良かったら俺も加えてくれないか?さっきも言ったように生物には詳しい。戦場では生物に対する知識や環境に適した生物も攻略に必要になってくるからな」
「ならお願いするよヒューリー。」
パスはヒューリーの参加希望を受け入れ冒険者登録を済ませる。
パスは遂にこの異世界で冒険者としての第一歩を踏み出したのである。
第2話 完




