スピリチュアルX/構造解析編――雨の訪問者
雨の訪問者——
チャールズ・ブロンソン主演のサスペンス。
正体不明の訪問者が、日常を一気に壊す物語だ。
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そしてある雨の日。
バスではなく、タクシーでやってきた訪問者は——
年齢不相応に見えるシャネルのニットスーツを着た、
高く整った鼻の女性だった。
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開口一番、こう聞かれる。
「正直、日本は既に終わっていると思っており、
裕福な相手と結婚したいと思っていますが、
ちょうど目の前にいる“ケンブリッジとハーバードを出た、スイス銀行勤務の外国人”と
結婚前提で付き合うべきでしょうか?」
一瞬フリーズした。
——普通はまず出てこない質問である。
一見結婚相談に見えるが、
中身は“階級構造”の話である。
フォーカス6(構造俯瞰)
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彼女は地方の病院の跡取り娘。
MBA取得のため、慶應の大学院に通っている。
先日も、いわゆるGAFA系の連中とのコンパに参加したらしいが——
結果は逆に、相手をドン引きさせたらしい。
理由は単純だ。
女性陣が全員、ポルシェやBMWで乗り付けるような
“金持ちのドラ娘”だったからである。笑
フォーカス3(資産)×フォーカス4(信用)
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彼女自身、名古屋の大学時代は
おそらく“上位の側”にいた。
だが——
彼女自身も身を置く、
医師や弁護士といったハイスペック専門職の世界を見ても、
「“中途半端なセレブ”同士のどんぐりの背比べ」
にしか見えないらしい。
フォーカス4の飽和
地方特有の人間関係にも飽き、
今は目黒区で一人暮らしをしている。
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そして彼女の望みは明確だ。
「最低でも広尾のプール付きマンションに住み、
一年の半分はレマン湖の別荘で過ごす——」
五木寛之風に言うなら——
「いわゆる、定職に就かなくても食っていける、そういうクラスの生活」
フォーカス3ではなくフォーカス4への欲求
——異次元だが、本人は大真面目である。
実際、彼女の家の財力なら、やろうと思えば出来てしまうようだ。
(普通に羨ましいけど、笑)
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ここで重要なのは一点。
彼女が求めているのは、金ではない。
“階級”である。
フォーカス4
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彼女は
「結婚すれば、その階級に入れる」
と、疑っていない。
フォーカス4(階級)を
フォーカス3(結婚・金)で解決しようとしている。
しかし現実は逆だ。
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同じ階級の中にいる者同士が、結婚によって構造を最適化する。
フォーカス6
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先代の戦友でありクライアントでもあった
細川護煕の家系。
娘二人は、それぞれ三井総領家と裏千家へと嫁いでいる。
分野の異なる
・経済(資本)
・文化(権威)
この二系統に接続している点も興味深い。
さらに、氏の弟は母方の「五摂家・近衛家」を継いでいる。
いやはや——もはや大河ドラマの世界そのものである。
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これは何も、旧華族の話ばかりではない。
実際に——
大蔵次官出身の政治家の家系と
老舗の大手食品企業グループ
この二者を結ぶ縁談の相談が持ち込まれ、
その経緯を間近で見る機会があった。
最終判断は先代が行っている。
私は当時、ただの会社員で
当然ではあるが
そうした判断に関わるスタンスではなかった。
だが結果として——
その政治家の次男は企業家の家に入り、
現在ではグループ会長として活躍しているのを確認している。
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これは恋愛というより——
資本や立場の再配置であり、格の補強である。
フォーカス4同士の最適化
・家柄(歴史)
・経済(資本)
・文化(権威)
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上流の結婚は——
外から入るものではない。
内側にいる者同士の再配置である。
フォーカス6の結論
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そこで彼女に一つ、聞いてみた。
「そのクラスの男性が、あなたと結婚して
何かメリットがありますか?」
フォーカス5(自己位置認識)
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……答えは出なかった。
「個人スペックの上限に達すると、
次に見えるのは“構造の上位”である。」
フォーカス5未形成
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これは意地悪でも何でもない。
上流の結婚は基本的に“機能”で決まる。
・信用を強化できるか
・ネットワークを広げられるか
・場を壊さないか
・価値を一緒に回せるか
フォーカス6
「富む者はなお富み——」というキリストの言葉は、
2000年前から変わっていない。
そして金持ちは、やがて金では解決できない問題に行き当たる。
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そして彼女の状態はこうだ。
「志向は上流(フォーカス4)、構造は未接続(フォーカス5〜6未形成)」
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結論として、愛知県にある、
「目が覚めるか、芽が出るか」といわれる
パワースポットに行くことを勧めた。
フォーカス転換(5→6)
ちなみに彼女には、近々宇宙旅行に行くというパワスポット仲間の知人を紹介しておいた。
まあ、お互いにメリットはあるだろう。
うちの先代も、パワースポットがきっかけになり
広尾のプール付きマンションに住むような連中から、
一気に声がかかるようになったことがある。
もっとも——
先代の場合は、フォーカスが高すぎて
金や名声に興味がなかった。
フォーカス7(非執着)
それが逆に、連中に好かれたのだが。
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最後に彼女には、こう伝えた。
「パワースポットと並行してCIAのプロファイリングメソッドである
『フォーカス理論』を学んだ方がいいですよ。
それが一番、目標に近づく最適解です」
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彼女が現実に目覚めるのか。
それとも本当にセレブリティになるのか。
それは分からない。
ただ一つ、確実に言えるのは——
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本人も言うように、「ただ金さえ有れば良いという訳ではなく、
中途半端に叶うのが一番やっかいだ。」
フォーカス4の固定化
——なぜなら、
それを“本物だと勘違いしたまま固定される”からである。
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経済的自由と時間の自由を標榜しながら
“今だけ、金だけ、自分だけ”。
フォーカス4のフリに過ぎない——
マルチ商法の人たちは、
フォーカスが固定された“井の中の蛙”だ。
——彼女の価値観では、そういう類いの人種なのだろう。
「金持ち」と「金だけある人」とでは俯瞰視点で見れば
どうやら全く別の人種らしい。
——おかげで、
これまで感じていたマルチ商法の成功者に対する違和感の正体が、ようやく腑に落ちた。
彼等はフォーカス3に特化しながらフォーカス4に擬態している
いわば“金持ちコスプレ”だ。
——結局のところ、人の相談に乗ることは、自身の気づきにも繋がる。
未だ金持ち志願の身で言うのも何だが
久しぶりに、やばい案件だった。
「フランシス・レイの『雨の訪問者』のワルツを聴きながら——。」




