表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/17

スピリチュアルX 祭りで遭遇した「霊能者の溜まり場」が、あまりにカオスだった


4月最初の週末、犬山祭りの風情を楽しみ、城下町を歩いていたはずだった。


国宝、犬山城を背景に山車、囃子、春の空気。

フォーカスは完全に観光モード。


――だったはずだ。


しかし、スピ友に聞いていた一軒の「お餅屋さん」に、ふらりと立ち寄った。



そこだけ、空気が違った。


いや、正確には――

フォーカスが違った。


そこは、自称霊能者たちの「聖域」であり、

同時にあまりに世俗的な人間ドラマが交差する、

妙な熱気に包まれたカオス空間だった。



1. 座敷童のいる餅屋にて


店主が言う。


「ここは霊道で、そこに座敷童がいる」


その一言で、空間の前提が書き換わる。


気がつけば店内には、

「視える」という人々が自然発生していた。


中でも目を引いたのは、

明らかに“場の中心”にいるボス格の男性


——何処となく、昔の同僚に似ている。「残酷な天使のテーゼ」などのアニソンを

カラオケで全力で歌っているタイプだった。

(因みに私の十八番はキューティーハニーだが。)



2. 「地下300メートルの八咫烏」と消される恐怖


磁場がおかしいのか、2階に居ると不思議と気分が悪くなった


2階ではボスが、透視した結果を語り出す。


「この2階には霊の溜まり場がある。昔は座敷牢だった」


いやぁ、どう見ても……普通の狭い古民家の和室であるが、


「貴方にもやはり見えるのでしょう?」


「いや、いや見えませんけど、“ATフィールド(フォーカス)”が乱れるんだとおもう。笑」


(※“この霊が見えるという現象”は、外部からの何らかの刺激が脳内で変換されて、視覚化したモノだ。


何が見えるかはその時のフォーカスに大きく左右される。

あくまで主観的なモノではあるが、“ジブリの妖精”が見えたら、さぞ楽しいだろう。


また風水的に申し上げるなら、「地縛霊」や「浮遊霊」と言われるものは

電磁波のノイズという解釈となる。)


話題を変えようと

「近々、京都にパワースポット巡りに行くんです。」と言うと


彼は興味深い事を“さらり”と言った。



「実は私の霊視では京都の下鴨神社の地下300メートルに、

秘密組織“八咫烏”の本部があるのが見えた。



地下300メートル。


普通に考えれば、地下水か地圧で終わる深さだが、

そんなことは関係ない。


「これ以上話すと、消されるかもしれない……」


突然のエージェント化。


ここで私は、つい言ってしまった。


「いやあ、多分“どちら様ですか?”なので、大丈夫だと思いますよ」



さらに話を聞くと、彼らの情報源も見えてきた。


月刊『ムー』


である。


どうやら、ムーで読んだ知識を

霊能力で“検証しているつもり”らしい。


ちなみに彼の名刺には、八咫烏のロゴが入っている。


「関係者ですか?」と聞くと、


「むしろ敵対関係にある。

最近では大学生の運転するプリウスと事故ったが、それは仕組まれた事だった。」


とのことだった。


……いや、そんな凄い組織があなたを認識しているとは思えないが、笑。


(トヨタの会長が、貴方がプリウスに乗ろうが、ランクルに乗ろうが、気にしないのと同じです。)


3. マルチ商法という「現実的な脅威」


話を聞くと、彼らは以前、別の町にある


「座敷童のいるうどん屋」


を拠点にしていたらしい。


なぜ移動したのか?


地下組織か?

霊的干渉か?


……違う。


「店主がしつこくマルチに勧誘してくるから」


である。


国家機密は透視できるのに、

マルチからは逃げられない。


地下300メートルの本部より、

目の前の契約の方がリアルに怖い。


ここに、世界の構造がある。



4. 発生源は「金曜の夜」と「本屋」


実は、この"自称霊能者たち"には共通点があった。


話を聞いていくうちに、

一つの“発生源”が見えてきた。



名古屋で、金曜の夜だけ開くスピリチュアルカフェ


“金運招き石”があると、

異業種交流会の知人に一度連れて行かれたことがあるが、

満席だった。

そして演出なのか、ガチなのか、店の一角で光の柱の様なモノが見えたが、

“どうも他の人には見えないらしい。”


(因みにそこでは、皆“鉄板ミートソーススパゲッティ”を注文した。

⸻まさしく鉄板的に美味しい。)



彼らはそこから情報を得て、

週末になると犬山へやって来る。


つまり、この餅屋は終着点ではなく――

流通の末端だった。


ちなみに私も「今度お話会を」と誘われたが、

丁寧にお断りしておいた。



その名古屋のカフェのマスターも、なかなかの人物だ。


「アルクトゥルス星人の指令を受けている」

「胸には2体の龍が住んでいる」


客の方も、


「私は前世でムガル帝国の王妃でした」


と真顔で語る。


……「その顔で?」と聞き返してしまった私、笑。


もはや日本ではない。完全に宇宙である。



整理すると流れはこうだ。


月刊ムー → 金曜カフェ → 犬山現場



まるでリアル“ナオキマンショー”だ。


だが重要なのは、そう言った局所的な内容ではない。


構造の方だ。



金曜の夜にカフェでフォーカスを書き換えられ、

土日に現場で再生産される。


そしてまた、誰かが持ち帰る。



フォーカスの連鎖



つまりこれは、


スピリチュアル版フランチャイズ


である。


つまりここは、そのカフェの“餅屋バージョン”だった。


餅屋、カフェ、うどん屋


そして共通するのは、炭水化物だ。


恰幅の良すぎる“元祖スピリチュアル芸人”が――


霊能者には、炭水化物が必要という持論を展開していたが


そういう事なのだろうか?





だが重要なのは、


誰が“フォーカスの起点”を握っているか


だ。


そしてその起点は、大体――


本屋と金曜の夜にある。



5. やれやれだぜ、犬山の昼下がり


「今度、下鴨神社に行って確かめてみなさい、

摂社の河合神社と三井社のある辺りです。」


そして同じ空間では、手相を見る人、

ヒーリングをしている人などがいる。

(同期体質である、私から見ても、そのヒーラーの人の腕の周りの空気の層が明らかに歪んで見える、

何か特殊な人に見えた。)


そろそろ、頃合いかなと思い

私は店を後にした。


犬山祭りの車山よりも、


このカオスな空間の方が

よほど印象に残ってしまった。


結局、お餅の味は覚えていない。


だが一つだけ、確かなことがある。


彼らにはマトリックスの“赤い薬”が必要かも知れないと言う事だ。

いや、既に飲んで、覚醒したのかも、笑。


人は、見えないものからは逃げられる。

だが、目の前の現実からは逃げられない。



どんなに「地下300メートル」を透視できても、


フォーカスが現実に合っていなければ、

最後に支配されるのは――


目の前の営業トークである。


どうやら宇宙の真理は、

コンビニでも売っているらしい。


「そして気がつけば、私も座敷童ちゃんに商売繁盛を祈願していた。」


エリッククラプトンの“Change the World”

を口ずさみながらの帰り道、

何故か無性に腹が減り、

ラーメンとチャーハンを食べて帰った。


……なるほど。


やはりスピリチュアルには、

炭水化物が必要なのかもしれない。

または、座敷童ちゃんが、囁いたか?


……やれやれだぜ。

と思いながらも、

帰宅してから、

座敷童の、瑠美ちゃんとケイコちゃんに

お菓子をお供えした。


それくらいの信心深さがあっても良いかなと

思ったりしながら。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ