表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第5章 店長、地上にお出かけする

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

145/145

第145話 挑戦

「きっとこの世界の一日は、外の世界での数分程度に過ぎないんじゃないかな……ダンジョンマスターの権能を使えば、それくらいはできるよ」


 それは三人にとって、最も絶望的な事実であった。

 唯一この状況を打開できる、トオルの助けが来ない。

 来たとしても、それまでにこの世界でどれ程の時間が経過しているのだろうか。

 下手をすれば、年単位でこの世界に閉じ込められる可能性すらあった。


「そんな……じゃったら、どうしろと言うのじゃ!? ずっとこの場所でままごとをしていろとでも言うのか!?」


「あるいは、その前に飽きてボクらが食べられるかだね。ボクとしてはこっちの可能性が高いと思うよ。なんせ子供のままごとなんていつ飽きられてもおかしくない」


「……あのお店の方が保たない可能性もあります。トオルさんは模造品である事に気づいていましたが、店員の方……アズマさんとシンシアさんは気づいていませんでした。あの二人は多分、私たちのように強い訳じゃないと思います。普通の人間に近い精神性」


「この世界の状況を一発で把握できるなんて、それこそホムラちゃんクラスの強さがないと無理だよ。ましてや自身が模造品だなんて気づいちゃったら……まぁ、普通の人間は正常な精神を保てないだろうね。そうなればあの店は実質崩壊。このままごとも強制終了だ」


 恐らく、この世界の違和感に気づくのにそれ程時間は掛からないだろう。

 この世界は渋谷ダンジョン下層を模しているが、それも不完全だ。

 魔物の気配はないし、他の人間の姿もない。この空間自体もそれほど広さはないし、店の周囲だけ取り繕って作り上げた地形なのだ。


「仮にあの二人が気付いたとしても、ゲームのセーブデータみたいにリセット(・・・・)する事はできるだろうけども。これまでの記憶をなかったことにしてね。まあそれでもバエルに飽きがきたらおしまいだよ。ボク達に主導権は一切ない」


 完全密室。暴力は行使不可。時間制限付きで、助けがくる望みも薄い。

 イヴが最初に言った『詰み』という状況を、アルは嫌でも理解せざるを得なくなっていた。


「儂等、どうしようもないのか?」


「残念ながら、ボクも打開策が思い浮かばない。バエルの気まぐれを期待するか、三人で玉砕覚悟でこの世界の破壊を試みるか。……あるいは、修行してトオルに勝てるようになる、とか?」


「疑問系になってる辺り、はなから無理って言っとるもんじゃろ……あの怪物は、ちょっとやそっとの努力や工夫で倒せる相手じゃないのじゃ。

そもそもなんでバエルは、生きた人間をそのまま再現したんじゃぁ……」


「そこはちょっと、ボクにもわからないな。あの店そのもの(・・・・・・・)に何かこだわりがあるのか、そもそもどうやって過去のトオルの情報を入手したのか、謎は残ってはいるけど。多分ここで考えても結論は出ないだろうね」



「……バエルの目的は、本当にままごとをしたいだけなんでしょうか?」


 二人が絶望的なやり取りを繰り広げている間、ホムラは内心である疑問を抱いていた。

 あの模造品の料理。情報を集めて構築しただけの物体。

 恐らくあれも、入手した『pochard』の情報から再現した物だろう。

 確かに美味しい料理、しかしそれだけ。

 何かが欠けている。美食に出会った時の感動が、あの料理からは得られないのだ。

 しかし調理したアズマ本人は、その模造品の料理に違和感を覚えた様子はなかった。

 気づけなくされているのか、それとも再現したバエル本人が気づいていないのか。

 ホムラは薄々、その欠けているピースの正体に気づいてはいるが……


「バエルの目的が叶えられたら、このままごとは終了するんでしょうか」


「……。興味深い話題だけど、あまり期待しない方がいいと思うよ。バエルの望みが叶うのと、ボク達が助かるのは別の問題だ。わざわざ食べた餌を、満足したからといって吐き戻す奴がいるかい?」


「これではまるで、儂等は死ぬまで働かせられる奴隷なのじゃ……」



 アルとイヴの顔からは、完全に希望が消え失せていた。

 人智を超えた存在であっても、どうしようもない絶望。


「…………」


 その状況下において、ホムラは。


「アルさん、イヴさん。お二人に、お願いがあります。」


「む?」


「ん?」




「私に修行をつけてくれませんか。あのトオルさんを、倒せるようになるまで」


 ――その黄金の眼差しから、まだ希望の光を失ってはいない。







『最強剣鬼の転生〜生涯を剣に費やした孤高の剣士、転生し剣の頂を目指す』

https://ncode.syosetu.com/n7560ka/


新作投稿始めました。

異世界ファンタジー物で、剣しか知らない男が転生して学園に通うお話です。

カクヨムで先行投稿していた物で、本編は完結しています。よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ