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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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特別訓練と事情を持った亜人ハンター-7

 サティヴァ―ユとペアを組んでからダンジョン攻略に行くまでの1週間のうち、すでに4日が経ったが未だお互いに協調は取れずにただ一緒に行動するだけになっていた。さらに言えばサティヴァ―ユの目標である翠眼兎(グリーンアイ・ラビット)の討伐数は依然として変わらずの0体だった。毎日朝早くからギルドへ赴き、クエストを1つ受け、付近の森へと足を運び、陽が落ち始めるまで探索をするというのが日課のようになっていた。


 ユウキも課せられている訓練内容があるためサティヴァ―ユと森に行き、魔物を的確に一撃で狩るという共通の目的があるため彼女と行動を共にするが、一日目で既に行動をするのが苦になっていた。苦なら共に行動をしなければいいと簡単に結論は出るのだが、そうも出来ない理由がユウキにはあった。それは一昨日の晩に遡る—————。


☆★☆★☆


「はぁ、疲れたな……。このままあと5日もペアを組むとかきつすぎる」


 昨日同様、一日サティヴァ―ユと森を散策し、サティヴァ―ユの訓練目標である翠眼兎を探していたが結局昨日と変わらず見つけたところで討伐する事が出来なかった。何を言っても自分のやることを曲げない、そして手伝おうと手を出すと余計な事をするなと一喝するサティヴァ―ユの性格にユウキはほとほと呆れかえっており、逆に何故そんなにも人を頼ろうとしないのか疑問でしかなかった。


「ユウキ、さん?」


 ユウキは昨日今日とサティヴァ―ユの行動、言動を思い出し今後の事を考えるとため息と愚痴が無意識に溢しながら帰路についていると背後から聞き覚えのある声が1つユウキの耳へと入った。ユウキは振り返るのも面倒臭くなっていたが、声の高さからして女性であり、さらにはここで無視をし何も聞かなかったことにして歩き出すとさらに面倒なことが起きると悟り、渋々ながら声のした方へと顔を向けた。


 振り返るとそこには襟と腕の部分に青のストライプの入った白いシャツにホットパンツを履いた攻略隊の時とはかなり違うラフな格好をした攻略隊のハンター部隊の1人であり、摸擬戦で一戦交えたサクラが大きな紙袋を持ってユウキの前で佇んでいた。


「なんだサクラ、さんか。どうも」


「なんだとはなんだですか。人の顔を見るなり失礼な人ですね」


 サクラは頬を少し膨らませムッとした表情を浮かべながら答えると、ユウキの顔色を見てさらに言葉を続ける。


「まだ2日目ですけど訓練の方はどうでしょうか。順調ですか?」


「うーん、順調とは言えないかな」


 サクラの質問に思い出したかのように疲れた表情を浮かべながらそう答える。


「何かあったのですか?相談なら乗りますけど」


 サクラはユウキの顔色を窺うなり何かあったと察し、そう言葉を掛けるなりユウキは思い出したようにサクラの肩を掴んだ。無意識に肩を掴む手に力が入り、サクラは少しだけ表情を歪めたがユウキは気付くこともなく言葉を溢した。一言「ペアって変更できないですかね」と。




「結論から言います。そんなこと出来るわけないじゃないですか」


「ですよねー」


 サクラはユウキの一言を聞くなり話も長くなりそうな上、場所も道の真ん中というのもあり一度移動をしようと提案し、ゆっくり話が出来る酒場に向かった。そして店についての一言目がこれである。一緒にいるのが攻略隊でも有名なサクラというのもありましてや男女2人きりという状況に他の冒険者からの視線が痛いが、そんなことを気にする様子もないサクラは言葉を続けた。


「まずですね。ダンジョン攻略まで1週間しかないっていうのになぜ訓練開始から2日でペア交代してくれって貴方は馬鹿なんですか?」


「馬鹿ってそこまで言いますかね?」


 馬鹿という単語を強調して言ってくるサクラにユウキは少しばかりイラつきを覚えるが、なるべく平然と受け流す。運ばれてきた飲み物に口を付けながらサクラはさらに言葉を続ける。


「まず、なぜペアを変更したいと思ったのか経緯を聞かせてもらえませんか?」


 俺はサクラの質問に昨日今日のサティヴァ―ユとの出来事を簡潔に伝えた。


「今もソロで活動していることは元から知っていましたが、あの人はまだそんなことを言って意固地になっているんですね」


 サクラは俺の話を聞くなり呆れながらそう言葉を溢した。口ぶりからするに一応知り合いなのだと理解出来た。


「サティヴァ―ユの事何か知っているのか?もし、知っているなら教えてくれないか」


「知っているとは言いますが私が知っているのは彼女がなぜ頑なにもソロで活動しているかということだけですのでユウキさんのためにはなりませんよ。ましてや話したところで彼女との距離が近くなるわけでもないですし」


「それはやってみないと分からないだろ。だから知っていることだけでいい教えてくれ」


 サクラはユウキの顔を見るなり一拍おいてから話し始めた。それはサクラとサティヴァ―ユが出会ってから約3ヵ月という短い期間だったが同じ師匠の元で過ごした話だった。


☆★☆★☆


 サクラがエイガルドに来た頃、サティヴァ―ユはすでにエイガルドで見習いハンターとして活動をしていた。


「ここは……」


 目を覚ましたサクラは全く見知らぬ光景に目を走らせた。周りには草木が生い茂り丘の様な場所で自分は横になっていた。空には欠けた赤い月、丘の周辺には街とその少し上にある崖には変な神殿らしき建造物があった。


「え、ほんとにどこここ?日本じゃないし、他の国でもないよね。あんな建物教科書でも見たことないし」


 サクラは神殿の様な建造物を見つけるなり頭の中にある知識と比較してみるがやはり見たことのない建造物だった。サクラはもっと近づいてみようと恐る恐る歩き出すと何かに躓き地面に再度転んでしまった。


「いたたっ……ってなにこれ。起きた時には何もなかった気が……」


 転んだ足元に視線を送るとそこには歪な形をした自分の拳くらいの大きさの石が1つ転がっていた。石の表面にはびっしりと謎の模様が刻まれておりサクラにはただの石には思えなかった。


「と、とりあえずこれも一応持っていこう。それにしてもここ本当にどこなんだろ」


 どこの世界でも情報は必要だ。街が見えたから人がいるはず。サクラはそう考え街を目指すが、見知らぬ場所で持ち物が石1つというのはかなり危険である。それはサクラも分かってはいたがここに居座っていても危険な事には変わりない。かなり心細かったが石を片手にサクラは丘から見えた街を目指して歩き出した。

次回更新は5/29です

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