表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
72/163

特別訓練と事情を持った亜人ハンター-6

 陽も落ち始め空が茜色に染まった頃、俺とサティヴァ―ユはエイガルドに戻りギルドで手続きを終えた後、早々に別れた。しかも、しっかりと明日も朝から集まるということだけを約束してだ。俺は明日のことを考えると憂鬱に思いながらハウスに戻る帰路へと足を進める。


「あー疲れた……」


 そしてハウスに帰ってきての一言目がこれだ。既にハウスに帰って今日の夕飯を作っていたタイセイやサキがそんな俺の姿を見て苦笑いを浮かべていた。リビングにはハヤトとマシル、そしてアカネが読書やら武器の手入れ、攻略隊から配られた自分の訓練メニューを眺めていた。


「初日から音を上げるなんてサティヴァ―ユって子は中々に面倒くさそうな子なのか?」


 本から一切顔を上げずにハヤトはそう聞いてきた。


「面倒臭いというよりなんというかな頑固……、いや意地張って人の意見を聞こうとしない自己中心的なやつだな」


「要するに面倒くさい奴ってことじゃないか」


 アカネが武器の手入れをしながら呆れた様に言葉を発する。ハヤトは何かを思い出したのか読んでいた本を閉じるなり、顔を上げるとアカネに向かって口を開いた。


「そういえばアカネはサティヴァ―ユって子とほぼ同時期にここに来たよな?なんか彼女について情報とかないのか?」


「同時期ってあんたも変わりはないだろ。でも、そうだな……あいつのことは久しぶりに見たがいまだにソロでいるようだな」


「いまだに?なんでだ?」


「そんな事知るわけないだろ。私とあいつは昔からそりが合わないんだ。興味すらないね」


 アカネは両手を横に広げ我関せずといった表情でそう答えた。


「てかユウキは彼女と何があったんだよ。面倒なことって何があった。それともされたのか?」


「いやされたというよりほぼ付き添いだったな」


 ユウキは今日の事を思い出すや否や遠い目を浮かべるが、一日であったことを簡潔にだがハヤトたちに話した。


☆★☆★☆


 サティヴァ―ユと森を探索する事さらに約2時間、収穫は俺が仕留めた2匹の翠眼兎(グリーンアイ・ラビット)と巨体を包み込む青黒い毛皮と巨大な牙が特徴的な大猪(ジャイアント・ボア)が1匹の3匹だけだった。ちなみに大猪はサティヴァ―ユが翠眼兎に向けて射った矢が外れ、近くにいた大猪に当たり、不運にも怒りを買ってしまったことで討伐したのだ。


「なぁ、いい加減帰らないか?」


「うるさい、帰りたければ帰ればいい」


 サティヴァ―ユはそう答えるや否や茂みを掻き分け、翠眼兎を捜索する。


「帰ればいいってお前が無理やり連れてきたくせに」


「何か言ったか?」


「いいや、なんもないですよ」


 ユウキはボソッと呟くと何を言っても無駄だと思い出し、静かに翠眼兎を捜索した。


☆★☆★☆


「なんというかご愁傷様だな」


 俺の話を聞き終えたハヤトたちは口角を引き攣り上げながらそう答えた。まぁ気持ちは分からないでもないが……。


「で、結局彼女はその翠眼兎は討伐出来たのか?」


「話聞いてたのか?彼女は0だよ。てか、そうだ。なぁアカネ、弓出来るなら教えてくれねぇか?」


 思い出したようにアカネにお願いするとアカネは「は?」と低い声で威圧するようになんで私がそんな事しなきゃならないんだとでも言いたげな表情を浮かべた。そしてアカネは予想した通りそう言葉を吐き捨てた。


「なんで私がお前の尻ぬぐいをしなきゃならないんだよ」


「頼むよ。この通り!」


「面倒くさいからパス」


 バッサリとアカネは吐き捨てるとキッチンで夕飯を作っているサキたちの手伝いをしに行ってしまった。ハヤトはその姿を見て口に手を当てながら笑いを堪えてるし、マシルに至ってはいまだに訓練メニューと睨めっこをしていた。


「いい考えだと思ったんだがなぁ」


「まぁ、アカネは確かに弓は上手いけどあいつ基本面倒臭がりだからな。他を当たるしかねぇな」


 ハヤトはそう言いながら俺の肩を叩くなり夕飯の準備を進めるべく手伝いを始めた。


「そういえばハヤト、お前のペアも確かハンターの子だったよな。その子はどうなんだ?」


「うん?あぁ、ミツキちゃんのことか。あの子は……マシルみたいな人見知りな子だから教えるのは困難だと思うぞ」


 ハヤトはそう答えると思い出したかのようにやつれた表情を浮かべる。現にハヤトも彼女とまともに話すことは出来ず、距離も大体3メートルは離れており話すに至っては彼女は何かに隠れながら話すようなものだった。


 最初の頃はまず話すこともできない上に声を掛けるだけで逃げるといったかなりの人見知りでハヤト自身よく一日でそこまでの距離で話す様になれたなと吃驚している位だった。そのハヤトの表情から何かを察したのかユウキもこれ以上ハヤトに弓についてのことを聞く事は無くなった。


「ところでカズはどうしたんだ?」


 次々と料理がテーブルへと運ばれる中、カズだけはハウスの中に見当たらない。部屋に荷物を置きに行った時にカズの部屋に明かりも灯っていなかったので寝ているのか、それともまだ帰ってきていないのかだと思い待っていたが、未だに返ってこない事を考えると心配になったのかユウキはハヤトたちに疑問を投げつけた。


 すると、ハヤトは思い出したように声をあげた。


「あいつはギルドの休憩所で一日安静だとよ」


「なんでまた?」


 ハヤトに話を聞く限りカズはペアであるガーディアンのトウゴとの意見の違いにより依頼中に喧嘩したらしく、派手に負けたようだ。タイセイが買い物から帰ってきたときにハウスの前にボロボロになった姿のトウゴが訪ね、そう伝えにきたらしい。


「まったく何やってんだか」


「まぁ、あいつ見かけによらず変に頑固で熱い所あるからな」


 ハヤトはさらに「仕方ねぇさ」と笑いながら着々と夕飯の準備を始めた。

次回更新は5/22です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ