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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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あなたは今まで何をしていたの?

 幸せとは何でしょう?


 不幸とは何でしょう?


 私はガタンガタンと揺れてる電車の中にいた。その電車の座席は満席で、座れずにつり革を持って立っている人も少しいた。


「…」


 電車の前の方に目をやると黒板があり(幸せとは何でしょう?不幸とは何でしょう?)と白いチョークで書かれていて、皆はその議題を頭を抱えて悩んでいた。


シャッ!


次の瞬間、電車の中を光が包み込んだ。


「…」


 私は電車の中にいる。ガタンガタンと揺れている。その電車の中は当たり前のように座れないくらい人でぎゅうぎゅう詰めで、私はその電車の中で周りを見渡した。


「…」


 その電車の中の人たちは、私の知ってる顔ばかりだった。元の会社の上司、同僚、後輩、大学の時の友達、サークルで一緒だった人、授業の時によく見かけた人、なんでか知ってるけど喋ったこともない人、高校の時の友達、元のクラスメイト、中学の時の友達、元のクラスメイト、小学校の時の友達、元のクラスメイト…その他、etc,ETC,えtc、


「…」


 声を掛けようか迷うけど、なんて声を掛ければいいのか、私は覚えているけど向こうは私を覚えているのか、声を掛けた後の(え?誰?)という反応も怖くて…恐くて…こわくて…こ…て


 私はとりあえず真下の足元を見て誰にも気付かれない様にした。


「誰とも、めちゃくちゃ、仲が良かったわけでもないから…言い訳をしてとりあえず(他人のふり)をしたわけだ」


 私の真っ暗な足元から、私の声が聞こえてくる。


「…うん…そうだよ」


「あらあら、なんだか、素直ね、つまらない」


「…」


「この人たちは、あなたが今までに会ってきた人たち、見たことのある人たち、もしかしたら喋ったこともないような人もいるかも」


「…」


「この15両の電車全てにぎゅうぎゅう詰めに、あなたと出会ってきた人たちがいるわよ」


「…」


「あなたはこの中で、誰とも深い関係を築けなかった」


 真っ暗な足元が、真黒い影のようなものになって、私の耳元でいたずらに囁く。


「この中であなたを見つけて、手を振ってあなたに近づいてくれる人は果たして何人いるのかしら?」


「…」


「あなたは、耳が聞こえているのに、話をする口もあるのに、歩くことができる足もあるのに、何かを掴むこともできる手もあるのに、髪の毛もあるのに、目もあるのに鼻もあるのに、脳みそもあるのに、ぶふ!あなたは元気で何不自由ない体があるのに、ぶふふふふ」


「…」


「あなたは今まで何をしていたの?」


 ふぁん!


「…」


 私は電車の中にいる。


満員電車の中、私のスペースを何とか見つけて、私は立ちながらパソコンを打っている。


「これは何時までにオワラセナイト」


 周りから声が聞こえてきた。


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