幸せが何かわかったから
夜…あのいつもの公園で私はニャーさんと二人きり。
私はどうしてかニャーさんに「死にたい」と言った。
するとニャーさんは目を大きく見開いて私を見て
「どうして?どうして死にたいなんて言うの?あなたは死んじゃいけないし、もっと楽しく生きるべきだよ」
と必死な顔で言ってくれた。
「ぇ」
どうして?どうしてかニャーさんの話している言葉がわかる。
「ぼくも…ぼくもそうだったよ、死にたかった」
ニャーさんの声は…昨日会った彼の声にとても似ている…いや、彼の声そのものだ…
「ぇ…死にたかったの?」
私がニャーさんにそう言うと、ニャーさんは少し表情を曇らせて
「死にたかったよ。死にたくて死にたくて仕方がなかった」
そう言って一生懸命笑った。その笑顔は少し引きつっていて、なんだか人間みたいだと思った。
「あなたと同じだね」
「…」
私も引きつった笑顔で頷いた。
「……」
「ねぇ、ニャーさん…今も、死にたい?」
するとニャーさんは優しくにっこりと笑って
「死にたくないよ」
と首を振った。
「ぇ、どうして?」
私がそう聞くと
「幸せが何かわかったから」
と彼が笑いながら私にそう言った。