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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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死んでもきっと、楽になんかならないよ…

 朝が来た…。


「…」


 私は寝ながら白い天井を見ている。


 頭がボーっとする。


 そしてそれと同時に不安で頭が占領された。


 不安はまるで煙のように次から次へモクモクモクモクと無限に出てくる。


 その煙は心から湧き出ている。


 払っても払ってもなくなることがない…


「大丈夫、夢じゃない、昨日の出来事は夢じゃない…」


 だってちゃんと覚えてる、あれは夢じゃないって感覚がある。


 でもそれと同時に、それでも夢だったらどうしよう…という不安が私の頭を占領する。


 幸せに慣れていないから…幸せなことが起こると現実の事ではないんじゃないかと思ってしまう…。


「そんなことしても、なにも意味ないのに…」


 これから起こるかもしれない不幸に少しでも慣れておくために、自分で不幸を予想して作りだしてしまう。


 これから起こるかもしれない不幸に免疫をつけておくために…それがいつの間にか私の習慣になっていた。


 新しいクラスで友達ができないかもしない、職場では馴染めないかもしれない、この人とは話が合わないかもしれない、この上司とはうまく付き合えないかもしれない、というよりも私は…人とうまく付き合えないのかもしれない…私はきっと仕事はできない方だ、私はきっと嫌われている、私が辞めても変わりなんていくらでもいる…そんなことをバカみたいに繰り返し考えていたら…人とのつながりがなくなり、気がついたら周りに誰もいなくて、孤独になった。仕事面でもそうだ、仕事がつまらなくなり、どうして生きているのかもよくわからなくなり、仕事が嫌になり、嫌になり、嫌で嫌で仕方がなくなり仕事を辞めたくなった。そうしたら辞めること以外考えられなくなり、結局私は仕事を辞めた…。


「…」


 仕事を辞めても私はまた…マイナスな事ばかりを考えている。自分で自分の首を絞めている。そんなことをしても意味がないとわかっていながら、時間がたくさんあると、思考というものがあると、誰ともつながっていないと、仕事がないと、お金がないと、収入がないと、一日一日を無下にしていくと、ネガティブさんはどんどんどんどん大きくなっていく。大きくなって大きくなって私の視界を狭くさせる。するといつものように…(私は今日も一日何もしなかったけど大丈夫なのか?私は人間と喋っていないけど大丈夫なのか?私は働いていなくて大丈夫なのか?もう収入がないけど大丈夫なのか?)と無限の大丈夫なのか?が続いて、そして結局いつも、死にたくなる。そして死にたくなると、死ぬのは嫌だと、死ぬのは怖いと、ネガティブさんが理不尽に泣きじゃくる。


「全部…お前が考えたことなのに。全部お前が私に言った言葉なのに。お前が私を弱らせたのに。いざ死のうとすると、死にたくないって泣きじゃくる。じゃあ頑張って生きようと生きていると、お前はまた元気になって、つまらない事ばかりを考える(誰ともつながっていなくてつまらない)(楽しい事なんて何もない)(私には不幸なことしか起こらない)(つまらない、不幸だ、もうやだ死にたい)(死んだらきっと楽になる)」


 死んでもきっと、楽になんかならないよ…


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