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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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今日はきっと、いつもよりいい夢が見れるだろう。

 私は自分のベッドに横になりながら、白い天井を見ている。


「…」


 今日、ニャーさんが元気に帰ってきてくれた。


そして彼に出会って


「久しぶりに人と話をした…」


 すごく楽しくて、心が躍った。


 心にあったすごく重たいものが一瞬で消え去ったような気がした。


 あの静かな公園で、私は元気なニャーさんと灰色のとても、とってもきれいな猫ちゃんと…そして彼と出会い、話をした。


 あの静かな公園に、私とニャーさん以外の声が響いた、笑い声が響いた。


 人は一人じゃ生きていけない…人は一人じゃ寂しいから、苦しいから…人の人生は一人で過ごすには長すぎるから


「そして愚痴も言った…」


 彼はこんな私を抱きしめてくれて、優しく、猫を撫でるように私を撫でてくれた。


 彼は温かくて、人の温もりがとても久しぶりで、嬉しいせいかどうしてか、やっぱり涙が出た。


 そしてそれと同時に、その場で眠ってしまいたくなるほど、心の底から安心した。


「…」


 今日は凄くいっぱい、そして凄く久しぶりにいいことがあった。


「そして…それがあまりにも久しぶりだから」


 あの出来事も、そして今でさえも、夢なのではないのかと思ってしまう。


「今、このまま寝て、起きたら、全部何もなかったことになってたらどうしよう…」


 ニャーさんはやっぱり帰ってきてなくて、彼も夢の中の人で…朝起きたら、何もない、誰ともつながっていない私に戻ってたらどうしよう…


 そう思っただけで心が矢に刺されたような気持ちになる。


 もし夢じゃなくても、明日彼が公園に来なかったらどうしよう…明後日も来なかったらどうしよう…今日の出来事がたちの悪いいたずらだったらどうしよう…ウッカッカッカッカッカ~今日は孤独でよくわからない女を騙してやったぜ~ワイルドだろ~…なんて高級マンションの最上階でニャーさんに似た猫と灰色の美しい猫を撫でながら、シャンペンなんかを飲んでたらどうしよう…


 どうしようがどうしようを呼び、よくわからないどうしようが出現した。そして


「もういいや!もう寝る!知らん!」


 と言って私は頭まで布団をかぶった。


「…」


 布団をかぶると、ニャーさんとあの綺麗な猫ちゃん、そして彼の姿が頭に浮かんだ。


「ふふ」


 嬉しくて笑みがこぼれた。


「…」


 そして恥ずかしくなって顔が熱くなった。


「…」


 今日はきっと、いつもよりいい夢が見れるだろう。


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