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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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彼はこんな私に心を開いてくれた!だったらあなたはどうするの!

 でも彼は…自分の事を話してくれた。だったら私も、話すべきなのかな?(私も一人なんですよ。孤独なんです。はは。恋人も当たり前のようにいないし、勇逸の友達は猫のニャーさんです。ハハハハハ)


 言えない…こんなこと言えない…初対面の人に、こんな恥ずかしいこと言えないよ…。


(だったら、仲良くなったら言えるの?)


 私の頭の中で急に討論が開始された。


(言えません…)


(だったらいつ言うの?)


(言いません…)


(どうして言わないの?)


(言いたくないから…変な奴だって思われたくないから…)


(…ねぇ、あなたはそれでいいの?そんなことを言って心を閉ざしてたから、あなたは一人になったんじゃないの?)


(でも…でもさ…)


(また逃げるの?また仮面を被るの?あなたの本心を見えなくする仮面を。被ったところで人が離れていくだけなのに、そんなの意味ないってわかることができたのに…)


(でも、でもさ…初対面の人に、私は孤独なんですなんて話すのって絶対おかしいよ、変だよ…)


(変じゃないよ!彼は話してくれたよ!きっと勇気を出して話してくれたよ、あなたはその時どう思ったの?(うわ、変な人)って思った?(初対面なのになにコイツ、もっと仲良くなってから話せよ)って思ったの?思わないでしょ!)


(…)


(話してくれて嬉しかった、そうでしょ?)


(うん、彼が心を開いてくれているって思って、なんだか嬉しくなった、その話を聞いて私も自分の事言いたくなった)


(彼はきっとニャーさんから私の話を聞いて、私の事を自分と似た境遇なんじゃないかって思ってくれたんだよ…確かに初対面の人にする話じゃないかもしれない、でも、自分と似た私にだったら話してもいい内容だと私は思う)


「あ…ご、ごめんなさい、初対面でこんなこと、話すべきじゃなかったですよね」


「ぇ」


 私が彼の顔を見ると、彼は少し泣きそうな顔をして空を見ていた。


(彼はこんな私に心を開いてくれた!だったらあなたはどうするの!)


「…っ…ぅ…ぁ…」


 ど、ど、どうしよう、喋ろうと思ったら急に緊張して、喉がふさがれたようになってこ、声が出ない…どうしよう、喋らなきゃ、彼に、どうしよう…


「ニャー」


 とその時、突然ニャーさんが私を見て首を傾げて可愛く鳴いた。


「ふふ、かわいい」


 その時私は自然と声が出ていた。


「かわいいですよね」


 彼がこんな私の話に乗ってくれる。


「すごくかわいいんです。すんごくすんごくかわいいんです」


「はは、そんなにすんごくすんごくかわいいんですか?」


「はい!」


「確かにかわいいですけど、すんごくかわいいくらいじゃないですか?」


「いいえ!すんごくすんごくかわいいんです。すんごくをもっと使っていいのなら、もっとたくさんすんごくを付けたいくらいです」


 そう言って私たちは大きな声で笑った。そしてそれと共に私達の中に会った緊張感が一気にほぐれた気がした。


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