ニャーさん!ニャーさんだよね!ねえニャーさんでしょ?
「ぁ、あの…」
「!!」
話しかけてきた!
「…はい」
私は一生懸命笑顔を作って言った。
「ベンチ…僕も座って良いですか?」
「ぁ、はい、どうぞ」
私は端に座っていたのに、なぜかさらに端にずれながら言った。
「ありがとうございます」
その人は爽やかに笑って答え、人ひとり分の空間を開けて座った。その瞬間、私はニャーさんを思い出した。私の隣で私の話相手になってくれた、私の親友。ニャーさんも最初にベンチに座った時はこれくらいの距離感だったな。
「こんなところに公園があったなんて知りませんでした…」
「そうですね…珍しい所ですよね」
「…」
「……」
「………」
「……………」
「ぉ、落ち着けま」
にゃ~
その瞬間キャリーケースの中からかわいい猫の鳴き声が聞こえてきた。
「猫?」
私はキャリーケースを覗き込む、すると二匹の猫がそこにいた。一匹は綺麗な灰色、もう一匹は…真っ黒の…エメラルド、グリーンの…ね、こ…ぇ…
「ぇ、にゃー、さん…?」
ガチャ
私がそう言った瞬間その人はキャリーケースの扉を開けた。そしてそれと同時に、灰色のエメラルドグリーンの目をした美しい猫は彼のもとへ、そして…
「ニャーさん…?」
きみは、私の前で座った。そして可愛く「みゃー」と鳴いた。
「…ぁ………ぅ…」
私はその瞬間涙が溢れて止まらなくなった。
「ニャーさん!ニャーさんだよね!ねえニャーさんでしょ?」
そう言いながら、私はニャーさんを抱きしめていた。
「あぁニャーさん、生きててよかった、元気でよかった、また会えて嬉しい。もう、もう会えないと思ったんだからね。はあニャーさーん!ふふ、かわいい、かわいいねニャーさん、今日も、そしていつも、いつでも、かわいいよ」
そう言いながらニャーさんを見ていると、ニャーさんはギギギと彼の方を向いた。
「ぁ……」
やばい、私は初対面の人の前で、いきなりとてつもない姿を見せてしまった。私もギギギと彼の方を向く。
「……」
すると彼は爽やかに笑いながらこちらを見ていた。私の顔が赤くなる。
「ぁ、ご、ごめんなさい…」
と言いながらニャーさんを抱いて席に着いた。
あれ?ニャーさん…いつもより体が硬い?
「その可愛い猫、名前はニャーさんっていうんですね」
「は、はい」
私はニャーさんの頭を撫でながら答える。
「その黒い猫ちゃん…一週間くらい前に、家の前で倒れてたんです」
「え?」
「お腹が空いてたみたいで、家に上げてご飯をあげたら元気になってくれて…」
「あぁ…よかった」
「その猫ちゃん…すごくあなたに会いたがってました」
「え?」
「あなたの事をすごく、物凄く心配してました…」
「そ、そうなんですか」
そういう仕草とか、したのかな?でも…そんなのわかるのかな?社交辞令で言ってくれてるのかな?
「…」
「……」
「…ぁ、あの、僕…猫の言葉がわかるんです」
え?