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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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話しかけてきた!

 私…なんだろう…なんで生きてるんだろう


 この公園できみにまた会いたくて待っている。


 この公園できみに生きてほしいとメッセージを貰ったから待っている。


 でも…もう、なんだろう…先が、私の先が、未来が見えない…。


 この公園で私はニャーさんを待っている。大好きなきみを待っている。でも…きみはここに来ない。毎日どうすることもできない不安に押しつぶされる、毎日絶望感でぐちゃぐちゃになる。


私、毎日、なにしてるんだろうってなる。


自分の魂がどんどん弱っていくのが自分でもわかる。生きてと言われたのにまた死にたくなる。死にたくて死にたくてどうしようもなくなる。だって…もう、私と繋がっているものは、誰もいないんだから…。

勇逸の友達だったきみも、どこかへ行ってしまった…。


「寂しくて死にそうだ…はは」


 寂しさで死ねるのであれば、きっと私は、とっくに死んでいる。


「一人はもういい…一人はもう、飽きた」


 一人は寂しく、虚しいものだ。人は一人では生きていけない。人間は話す相手がいなければ生きていけない。くだらないことでもいい、どんな話でもいい、それを聞いて頷いてくれるだけでもいい、それだけで人間の心は楽になる。それだけで絶望感や不安、日々のストレスから解放される。


 ガサガサ


「!」


 突然、森の中から物音が聞こえてきた。


「ぇ…」


 ガサガサ…パキ…ガサガサ


 その物音はどんどんこの公園に近づいてくる、なにかがここに向かって歩いてくる。


「ニャーさ、ん…」


 だけど、なんか、違う気がする…。明らかに猫よりもはるかに大きなもののような気がする。


「ぇ…なに…」


 急に怖くなった、大きな熊だったらどうしよう、大きな肉食獣だったらどうしよう…痛い思いをして死にたくない…。


 ガサガサ…ドテ!…………「ぃっ…つ」……


 あ、転んだ…


 …………「はぁ」…ガサガサ…


 喋ってる…もしかして人間?


 そう思った瞬間、一人の男の人が公園の入り口に姿を現した。


「…ぇ…」


 その瞬間、なぜか私の目から涙が零れ落ちた。そしてそれと同時に心臓の鼓動が早くなった。


 ザッザッ


 男の人がこちらに歩いてくる。知らない人がこちらに向かって歩いてきているはずなのに、私はなぜか何も怖くなかった。そしてそれと同時に、どうしてか心が弾んだ。


 その男の人は大きなキャリーケースを持っていた。その人は若くて、目鼻立ちが整っていてとても優しそうな顔をしている。


「…」


 その人と目が合って私はなぜか顔を背けた。そしてそれと同時に、私、変な顔してないかな?とどうしてか不安になった。


 もう一度、ちらとその人を見る。


「…ぁ」


 また目が合った。


 ぁ…どうしよう、私、今日、メイクしてない…人に見せられない恥ずかしい顔してるきっと…。私は唇をかんで下を向く。


「ぁ、あの…」


「!!」


 話しかけてきた!


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