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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
149/184

びー、びでびでびでびでびで…スィーーースィ

「そういえばクロ、君はここを出てどこに行くんだ?」


「ん?クロって俺の事か?」


「え?ニャーさんだっけ?」


「なんだそのダサいやつは!」


「え?君の名前だよ?」


「なんだ!なんだ!!なんなんだ!!!」


           〇


「…それでクロさん、君はここを出てどこ行くんだい?」


「え~…クロさんはな…ここを出て」


「普通は自分を名前で呼ばないよ」


「ぁ…そぅ…じゃあなんて?」


「俺って言ってたんだから俺でいいんじゃないかな?」


「ぁ…そう。じゃあ俺はな」


「うん」


「ここを出て、死にに行く」


「!?!」


           〇


「おい!この野郎!な、なんだこれは?急に真っ暗に!」


 びー、びでびでびでびでびで…スィースィー


「死ぬなんて言ったらだめだ!」


 びー、びでびでびでびでびで…スィースィー


「うるせえ!なんなんだ急に!ここから出せ!!」


びー、びでびでびでびでびで…スィーーースィ


「うるさい!バカ!」


びー、びでびでびでびでびで…スィーーースィ


「もうそういうのは嫌なんだ!」


「そういうのってなんだよ!」


「こういう…死ぬとか死にたいとか…もうそういうやつだよ!」


「急になんだってんだ?なんなんだよ!」


 びー、びでびでびでびでびで…びー、びでびでびでびでびで…スィーーースィーーー


「クロ!これからはどうやって死のうかじゃなくて…どうやって一生懸命生きるかを考えよう!」


             〇


 ガチャ


「クロ…どうしよう…今、ペットショップに行く前にお金を下ろしたら、あんなに貯めていたお金がものすごく減っていたんだ…あんなに貯めていたお金がだよ…この期間ずっとスヤスヤ寝ながら家賃とかその他もろもろ引き落とされていたんだ、な…あぁ、死にたい…」


「おいおい…」


             〇


 僕は買ってきたばかりのキャリーケースにクロを入れロックを掛けた。


「くそ!この野郎!ここから出せ!」


「ふふふ、ロックがあるから出れんよ君は」


 クワン!


 ガチャ


「!」


 すぅ


「これでも食べて落ち着きたまえ」


「な、なんだこりゃ…」


「…」


「…ぅまそぅだな…」


「…」


「!!」


「…」


「こ、これは!」


「どうしたね?」


「うまい!うますぎる!!まず、この香ばしい香りで食欲を誘われ、口にいれるとその香ばしい香りが口の中に広がり、一噛みしたら肉汁(ジュワ!)そしてそれとともにさらに香ばしさ(ブワッ!)そして噛めば噛むほどおいしくなるこの不思議!!」


「そうであろう、そうであろう」


「なぜだろう…体がこの味を覚えている…」


「なぜだろう…僕もその味を覚えている…」


「いったいこれは!」


「猫缶でっす」


 クワン!


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