んぁ!痛!
目を開けるとそこには真っ白い天井があった。
体が嫌というほど重く、かなりのけだるさを感じる。
「…」
目尻から涙が垂れていた。どうやら僕は、夢の中で泣いていたみたいだ。なんだかとても長い夢を見ていたような気がする。
「っ…」
なんだか頭も痛い…風邪でも引いたかな。
時計を見ると10時を過ぎていた。僕はただなんとなくスマホに手を伸ばし、ボタンを押す。
「ん?」
つかない…
「…」
長く押しても…上の方の奴を押しても…つかない…
「壊れた?」
僕はスマホをただただ眺める。壊れたからといってどうすることもできない。直せないし…ただただ眺めながら意味もなくボタンをポッポポポポ、と意味もなく押すことしかできない…スマホが壊れても出来ることは何もない…。アホのように何も映し出さない真っ黒な画面をただ眺める。
「はぁ」
僕は目の前にあった充電器にスマホを差し込んだ。
壊れてるから充電できないだろうな…と思っていたら、スマホの画面が急に明るくなり、赤い電池のマークが出てきた。どうやら電池が切れていたみたいだ。まあまあ動揺していた胸をホッとなでおろす。
「昨日寝るとき充電あったけどな…」
まぁいいか…スマホの電池の減りは時に訳が分からない時がある、きっとそれだ。
ヴーヴー
僕はスマホのバイブ音を聞いてスマホを取る。
「…」
まぁ、といっても、スマホでやることなんて特にない。
「…」
僕はスマホを床に置いてテレビのリモコンを取る。そして赤色で電源と書かれているボタンを押してテレビをつけた。
テレビでは重いニュースを終えて、少し明るめの芸能ニュースを取り上げている。
「あれ…」
少し違和感を感じる、昨日までと少し違う…。取り上げている芸能人を知らないことはたまにあるけど…なんだろう?
「番組のセット、雰囲気が変わった…」
一日でこんなに?
「あれ?レギュラーの人も変わってる?」
あの人は今日はお休みなのか?それともこの人は今日のゲストなのか?こんな時間からゲスト来てたっけ?来てたか!いや、なんだろう…なんだかよくわからなくなってきた。
「まぁ、いいか…」
僕は重たい体を起こして、ベッドから降りるために足を床についた。
ムニュ
「んぁ!痛!」
ん?
今の「んぁ!痛!」は僕ではない…。
「……………………」
僕は物凄く恐る恐る足元を見る。僕はいったい何を踏んだんだ、そして僕の部屋に何がいるんだ…。
「…」
僕は黒い何かを踏んでいる、そしてそれと同時に黒い猫と目が合った。
「おい…その足をどけろ」
どうやら黒猫は怒っているようだ。