い き て
ぁ…ダメだ…ここから先は言ってはいけない…ここで止めなければいけない、言ってはいけないって思うのに、言葉は溜まっていた想いを、内に秘めていた想いを吐き出さんとばかりに出てきてしまう…。
「私、子供のころからずっと死にたいって思ってた。自分を隠す自分が嫌いで、偽って良い部分しか見せようとしない自分が嫌いで、こんな私死んじゃえって、消えてなくなっちゃえって、ずっと思ってた。周りより劣っている自分を隠そうとして、選ばれない自分に(しょうがない)って言い訳して、周りの悪い事は、自分ではないからと見ないふりばかりをした。そんな自分がいやで嫌でイヤで、消したかった、消えたかった、死にたかった。でも、(大人になったらきっと、死にたくなくなる)(生きててよかったって思える日がきっと来る)っていう言葉が頭をよぎって、私はいつも死ぬのをためらっていた…でも…でもさぁ…」
なんだろう、きみが何かを言っている。「にゃーニャー」と必死で何かを伝えようとしている。
「そんな日、全然来ないじゃん…」
私の目を見て、涙を流しながら、必死で何かを訴えている。
「死にたくて、死にたくて死にたくて、どこを見ても希望が見えなくて、きっと私、もうアルバイトもできなくて、こんな状態親にも言えなくて…どんどん貯金がなくなっていく。貯金が私の寿命に見える。0円になったら私、そのまま、何もできないまま、死んじゃうんじゃないかって思う」
きみは声をからしながら、何かを訴えている。
「まぁ…死にたいから別にいいんだけど」
きみはからした声で鳴くのを辞めた。そして、下を見つめ、右手をそっと動かし始めた。
「…」
「ニャー、さん?」
砂に何かを書いている…。
サ!ササ…
私の目の前で今、不思議なことが起きている。猫が砂に何か文字のようなものをかいている。だけど、暗くてそれがよく見えない。私は、スマホを手に取り、ライトをつける。そこにはやはり文字のようなものが書かれていて、私はそれを一文字ずつ追う。
い
き
て
「え?」
「ニァァ、ニァァ」
「ニャーさん…?」
ドテ!
その瞬間ニャーさんが倒れた。