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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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むかつく!そんな世の中大嫌い!こんな世界大嫌い!

 普段口にしないような言葉ばかりが連なるように出てくる。


「世の中に、こういう孤独という名の苦しみはたぶん、山のようにあると思う。溢れるほどあると思う。でも、テレビを見ても雑誌を見ても、本を読んでも…こんな物語はどこにもなくて、映し出されるのは才色兼備、容姿端麗な人気者たちばかりで、雑誌を見ても選ばれた人しか出てなくて、成功した話しか載ってなくて、本を読んでも…現実とはどこかかけ離れた物語ばかりが目についてしまう。それは当たり前の事なんだけど、物語っていうのはそういうものなんだけど…だけど、そうなんだけど(置いていくな!!)って思う!孤独な人間を、夢破れた人間を、選ばれなかった人間を、皆は見ないふりをしている。絶対にそう!そこにスポットを当ててもつまらないし、終わりが見えない、そんなことはわかってる!でも!でもさあ!そんな人間はどうしたらいいの?なににしがみ付けばいいの?何を見ればいいの?」


 私はこんなこと思っていたんだと、自分でも気付いていなかった自分が、自分の口から言葉と共に発せられる。


「何者にも見向きもされないものは誰にも手を差し出されず、誰からも注目される人間にだけ、手が差し出される現実。選ばれるものと選ばれないもの。選ばれるものは昔から決まっている。だいたいこの人選ばれるだろうなっていう人が選ばれる。そしてそういう人間が成功する。選ばれないものもそう。選ばれないだろうなって思ったらやっぱり選ばれなくて、他の人間にもなぜか下に見られて、そしてやっぱり成功しない」


 言葉に出しても何も変わらないのだから、意味がないと思っていた。だから今まで言葉にしなかった、口に出さなかった。でも、なんだろう、言葉にすることで何かがスッと軽くなる。


「むかつく!そんな世の中大嫌い!こんな世界大嫌い!どうあらがっても、どうすることもできなくて!泣いたって!喚いたって!誰も助けてくれなくて…死んでもきっと、腐るまで誰も気付いてくれなくて…お葬式も、誰も来てくれなくて…何のために生まれてきたのかわからなくて…もう、いっそ消えたいって思う。だって消えたら、死んだ後の面倒事も、両親を悲しませることも、私の変わり果てた死体も見られることもないんだから…だったらシュッて消えて、元からなかったことになりたいなって、思う…」


 ぁ…ダメだ…ここから先は言ってはいけない…ここで止めなければいけない言ってはいけないって思うのに、言葉は溜まっていた想いを、内に秘めていた想いを吐き出さんとばかりに出てきてしまう…。


「私、子供のころからずっと死にたいって思ってた」

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