今日は不思議な夜だった。
こんなこと、声に出して言ったのは初めてだ。生まれて初めて本音を話した気がする。
「………ぁ……」
本音で向き合わなかったから、私は、誰ともつながれなかったのかな…
そうか…ようやくわかった。
私は、本当の私を隠しすぎていたんだ。
「話しているときも、私ではあるけど、本当の私ではなかった…。どこか自分を見られないように仮面をかぶっていた。相手の話を聞いても、自分は曖昧に片づけていた。それがいつの間にか私の中で普通になっていた…そんなことにも、私は気が付いていなかった…。そんな人間といてもつまらないのは当たり前で、誘われないのも当たり前で、孤独になるのも当たり前で…」
「ニャー!ニャー!」
「…」
ニャーさんが必死で鳴いてくれてる。
「かわいい…」
私はニャーさんの頭を撫でる。
もう、なんだろう、ここまで話したら、ワタシが思ってること、本当は思っていたこと…全部言いたい…
「こんなこと、生まれて初めて…」
今日は不思議な夜だった。
「ねぇ、ニャーさん。私、きみが人間ならよかったって、いつも思うんだよ。きみが人間だったら…最高だなって。この公園で、猫も、猫もいいけど、猫もすんごくいいけど…たまには、人間と喋りたい…喋った後に、(そうだね)って言葉が欲しいときもある…」
ニャーさんが視線を逸らす。
「ふふ、ごめんね、いいんだよ気にしなくて、だって私、きみと話してるときが一番楽しいんだもん」
そう言って私はかがんで、きみの顔を両手で優しく掴む。
「でも…たまに寂しくなる。もう私に構ってくれる人間はいないんだと思うと、泣きたくなる、死にたくなる。胸のあたりがキュって苦しくなって、気が狂いそうになる」
普段口にしないような言葉ばかりが連なるように出てくる。