表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
128/184

消えたい…この世からいなくなりたくて、どうしようもない。消えたい…死にたいよ…死にたくて死にたくて、もう、どうしたらいいかわからない…

 あれ?私…いつも…こんなこと話さないのに…


「人間関係をおろそかにしてきた自分を、責めつづけた。孤独になって、何もなくなって、寂しくなった。寂しくなって、このままじゃいけないと思って、どうにかしなきゃと思った…」


 わたしは、子供の頃のわたしに、これが今のわたしですって、大人になったわたしですって、見せることができるだろうか…


「でも…どうすることもできなかった。私にはいざという時に連絡する相手も、遊びに誘えるような友達も…いなかった。連絡帳には、何人もいるのに、LINEにも、何人もいるのに…誘おうとすると、よくわからなくなる」


 みせられない…


「この人に連絡して、変に思われたらどうしよう、この人とどこかに行っても、私の話力で盛り上げることはできないんじゃないか、会って気まずくなったらどうしよう、っ、会って…今度は、会ってくれなかったらどうしよう、この人といてもつまらないとか思われたらどうしよう。団体でも、私だけ話の輪に入れなかったらどうしよう、後ろを幽霊のようについていくだけになったらどうしよう、トイレに行って帰ってきたとき(つかあいつ、なんで来たの?)とか言われてたらどうしよう」


 いくらせがまれたって、泣かれたって、見せられない…


「どうしようが連鎖して、なんにもできなくなる…。バカなのはわかってる、こんなこと起こらないとも思う…けど、起こりそうだとも思ってしまう自分もいる」


 私…何を話してるんだろう?


「今日、私が見た人たちは、私がなりたい自分の姿。私が望んでいる自分の姿。子供の頃思い描いた自分の姿」


 その中で、今日私は、ひとりで立っていた。


「泣きそうだった!最初から、無理してた!楽しいふりをしていた。これが現実なんだと、重たく私にのしかかった。そしたら不安や不満ばかりが頭をよぎって、泣きそうな私に拍車をかけた。なんでこんなところ来ちゃったんだろうって、頭の隅で思って、でも頑張って蓋をして…そしたら、昔の彼まで思い出しちゃって…」


 ニャーさんが真剣な顔で私を見つめている。


「私は今まで何をしていたのだろう、なんてなにもしてこなかったんだろう、なんであんなに、全ての事から逃げ出してしまっていたんだろう…彼はきっとこんな私を受け入れてくれたのに…」


 私の手を握って、きっと一緒に歩いてくれたのに…。


「消えたい…この世からいなくなりたくて、どうしようもない。消えたい…死にたいよ…死にたくて死にたくて、もう、どうしたらいいかわからない…」


 ニャーさんの顔が濡れている。私の涙で濡れている。


「あ!ごめんね」


 私は急いでニャーさんを下に置いた。私は頭を抱え込む。


 私は猫になんて話をしてるんだ…


 なんでこんな話になったんだ…


 私は本当はこんなことを思っていたのか…


 頭がパニックで、気が狂いそうで、吐きそうだ。


「…」


「ニャーミャーミャー」


 きみが足元で心配そうに私の顔を覗き込む。


「ごめんね…っつ、ニャーさんごめんね…」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ