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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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明日もひとりだと思いながら…

 私はここの人達みたいにちゃんとしてない…。


 ここの人達みたいに誰かと繋がっていない。


 私の糸は、もう誰ともつながっていない…。


「…」


 人間にはもともと、さわさわとして、強い風で吹かれると何本か飛んで行ってしまうような、柔らかい糸のようなものがたくさんついていて、その糸が人と関わりを持つと、その人の糸とくっついて関わりというものができるんじゃないかと私は考えている。だから私にはほかの皆が、関わりや信頼の糸でたくさん繋がっているように見える。


 寂しくなったらこの友達に連絡しよう、恋人に連絡しよう、家族に連絡しよう。その糸は最初は弱々しく繋がっているけど、関係が濃くなっていくと、どんどん強く繋がっていく。そうしてそれは強い(絆)や(愛)となって、絶対に離れることのない強固な糸へと変わっていく。


私は皆が持っている、皆が当たり前につながることができている糸が、私にはない…。


私には皆がキラキラと輝いているように見える。うらやましくて仕方がない。妬ましくて仕方がない。「ほしい!ほしい!」と駄々をこねれば貰えるものでも、手に入るものでもない。人との関係、関わりというものは、人と人とが積み重ねていくものだから。手に入れたとしても自分たちで育まなければ、育めなければ、その糸は簡単に切れて飛んでいってしまう。


だからそれらの関わりは、絆は、今までのその人の人生を鮮やかに彩るものだと私は思う。だからここにいる人たちを、外にいる人たちを、頑張って生きている人たちを、私以外の人達を、私はキラキラと輝かしく感じる。


自分ができなかったことを、皆はいとも簡単に、当たり前のようにやっている。私は、それができなくて、人に連絡ができなくて、その場では人と話せるけど、その場所だけで、連絡を取らないからより親密にもなれなくて、その場だけの関係だけができあがってしまう。そしてその場だけの関係しか作れなかった私は…


「ひとり…」


 楽しそうな場所でひとり、本屋でひとり、外食をひとりで食べ、ここから外に出てもひとり、ひとりで電車に乗って、ひとりで夕飯を買って、ひとりで家に帰って行く。そして誰もいない家に帰り、ひとり寂しくご飯を食べ、何も音がないと寂しいからとテレビをつけ、ひとりで笑い、ひとりで泣く。そしてお風呂に入り、髪を乾かし、ひとり寂しくベッドに入り、誰からも連絡が来ないスマホを手に取り、ただ何となくゲームをして、インターネットを開いて何かを見る。そしたらいつの間にか深夜になっていて、ひとり寂しくそのまま眠る。


明日もひとりだと思いながら…


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