ぬん~?ぬんなの~?久しぶりに私、頭に来てるんですけど~ぬんなの~?
「あの猫も、あの人間と同じくらい弱々しいな…」
「掴めそうですか?」
「ね、寝てる時であれば、だが…」
「…本当ですか?」
「ぬう?」
「本当に掴めるんですか?」
「ぬ、掴める」
「むんずと?」
「掴める!」
「本当に~」
「掴める!」
「今まで他の魂掴んだことあります?」
「……」
「怪しいな~掴めるかどうか~怪しいな~」
「ぬん~?ぬに~?ぬんなの~?」
「猫寝てますよ~。寝てたら魂、掴めるんでしたっけ?」
「ぬん~?ぬんなの~?久しぶりに私、頭に来てるんですけど~ぬんなの~?」
公園で寝ている黒猫を座って見下ろす得体のしれない物体二体。
「…」
「魂は、掴むことなんて、できません」
「それは、やってみなければ、わかりません」
「…」
「……」
「………」
「…………」
むんず…
「!」
「!!」
「!!!」
「!!!!」
「では~!謝ってもらおう!先ほどの非礼を謝罪して~もらおう!」
「も、も、も、申し訳ございませんでした!」
「エイヤー!エエエエエイ!!」
「あ、魂をそんなに振り回しては…」
「ぬ?」
●
(そういえば私は、どうして今、魂を持っているんだ?何の目的で掴んでいるんだっけ…)
●
「た、魂が、う、う、うまくだな、うまく入らぬ…か、か、身体にだな…戻らぬ…」
「え?」
●
「わ、わた、わた、私は、私はぁ…」
「か、から、から、身体に、執着が、なかったからですよ!とれるけど、死んでもいいと思っていたから、魂が身体に戻ってくれないんですよ!」
●
「猫の身体が硬くなってきました…ほんの少しですけど…」
「あ、あうあー」
●
「ど、ど、どこに行くんですか?魂を持ってどこに行くんですか?」
「さっきの人間のところへ!」
「なんで!」
「わからぬ!」
●
むんず!
「な、な、なにをしてるんですか?」
「わ、わ、わからぬ!」
「彼の魂を取っても!意味ないでしょ!」
「わからぬ!」
シュボ
「あ!はまった!はまったのである!」
「なにがですか?」
「あの猫の魂である!」
「なにやってるんですか!それ意味あります!それなんの意味あります!彼の肉体に!あの猫の魂を入れて!何の意味あります!」
「………スン」
「あぁ…もぅ…泣かないでください!こんな大変な時に泣かれても…」