ここに生まれてくる者たちは、この地球にいる生き物たちは皆、天国から地獄に堕とされた者たちなのではないのか
弱肉強食の殺される不幸もあるが、人間の中にはほんのごくまれに、殺されない不幸で苦しむ者もいる。
バカでかい脳みそで余計なことを考えて、自分で自分の首を絞めていく。
「…」
今までバカみたいに長い時間を生きてきて、数え切れないほどの生を喜び、そしてたくさんの死を見てきた。
そして当たり前のことが分かった。
生まれるということは、最後には死ぬということ。
そして生きるためには、他の生物を殺して栄養をつけなければ、生きていけないということ。
植物であれ、動物であれ、人間であれ、土の中の見えない生き物であれ、水の中の見えない生き物であれ、空気の中の見えない生き物であれ、何かの犠牲をなくしては、生きていけないということ。
人間は言っていた。生きている間、善い行いをして死ねば(天国)に逝ける。生きている間に悪い行いして死ねば(地獄)に堕ちる。
私はそれを聞いて思った。
ここに生まれてくる者たちは、この地球にいる生き物たちは皆、天国から地獄に堕とされた者たちなのではないのかと。
生き延びるために他のものを殺し、生き延びた分だけそこには、他のものの死体が数えることができないほど並ぶ。生きるために殺さなければいけなくて、相手が生き延びるために殺されなくてはいけなくて、皆にはそれぞれ恐怖心があって、痛みがあって、死にたくなくて、すべての生き物それぞれに大切なものがあって、大切な家族がいて、大切な子供がいる。それらを、生き延びるために奪われて、奪わなければならなくて、相手に同情する気持ちもだんだん薄くなっていって、普通になっていく。そうして生き物たちは、普通じゃなくなっていく。