死ねばよかったんだ
そして夢を諦めて…今、僕は一人。
前を見ても、右を見ても、左を見ても、上を見ても、下を見ても、誰もいない。壁しかない。
「はは…」
もう…どうしよう…周りに、相談する友達もいない…恋人もいない…
「ははは…」
なんで?
どうして?
僕…なにかしたのかな?
誰かをゴミのように扱った?
誰かが嫌だと思うようなことした?
殴った?蹴った?憎しみの塊のような言葉を誰かにいつも投げつけた?
ねぇ
ねえ!
おかしいじゃん!おかしいよ!なんでだよ!どうしていつも!なにかをしてはいけないの?生きていてはいけないの?死ねばよかったの?
「…」
あぁ…そうか…そうだよな…わかってたよ…実は小学生のころからわかってた…
「死ねばよかったんだ…」
死にたいとは思っていた。いつでも、どこにいても、死にたいって…でも、死にたいって思うと(嫌なことのあとには良いことがある)って言葉が頭の片隅から出てきて、真っ暗な心を少し明るくさせていた。
でも…もうわかったんだ。嫌なことのあとには良いことなんてない。嫌なことのあとには嫌なことしかない。止まない雨はない、たしかに止まない雨はない。でも…不幸は雨じゃない。雨と不幸は全然違うものだ。
「はははは…」
横切った車に引かれて死ねばよかった。空から石が落ちてきて死ねばよかった。夜眠りについて、起きずに死んでればよかった。誰かに包丁で刺されて死ねばよかった。幸せな人に癌がかからず、自分にかかって死ねばよかった。あのビルの屋上から落ちて死にたいな。あの速く走る電車にひかれて死にたいな。息をずっと止めてたら死ねるのかな?一瞬で自分の存在をなかったことに出来るボタンがあったら、何の躊躇もせずに押したのにな…
「ははははは…」
男は立って自分の家のトイレに行き嘔吐した。
「はははははは…」
ゲロをいっぱい吐いたら死ねるかな?
「ははははははは…」
体から何もなくなって死ねるかな?
「はははははははは…」
この汚いゲロを食べたら何かに感染して死ねるかな?
「ははははははははは…」
そうして男は死を願った。