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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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人間はこの地球というものを忘れ、自分たち人間が作ったものでしか満足できなくなった

 わたしは第34話(わたしには、どうすることも、できなかったのだ…)に出ていた、誰にも見えることができない、誰にも触れることができない、ほんの少し寂しめな生物です。読者の皆さんお久しぶり。です。


 どうしてここでわたしが登場したかというと、ここでほんの少し、千文字くらいですかね、わたしのお話になるみたいなんで、ね。


             〇


 人間はどうして死にたがる。


 どの生物よりも大きな脳みそをもって、邪魔なものを全てどけて伐採し、失くしたんだから我の者と、何食わぬ顔でそこに新たな人間の土地を作る。人間は地球にあったものをどかしながらどんどん自分たちの土地を増やしていき、そして全ての生き物のピラミッドの頂点はもう自分たち人間だなどと、謙遜した顔で傲慢なことを言い出した。人間は勝手に他の生き物のすべてを奪い、そして全てを手に入れた。


人間は大きな声で高らかに笑い、笑いに笑い、右を見ては笑い、左を見ては笑い、後ろを見ては笑い、前を見てはまた笑い、笑いに笑い、かと思ったら、少し黙って今度はつまらなそうな顔をする。


「だって~手に入れちゃったから、つまらない」


「もう終わり?って感じ」


「なんか次ないの?次なんかやる奴?」


「人間ってさ~目標があって前に進むものじゃん」


 人間は何かを手に入れると、次にはもっと大きな何かを手に入れようとする。そのためにはどんな手段も惜しまない。そのためになくなったものは(犠牲)の一言で片づけられ、よくわからないものを築くと(成長)という言葉で称えられた。


 そうして現状維持という言葉を卑下しだした人間は、満足するということをしなくなった。何かを手に入れたら、次はもっと大きなもの、その次はもっと大きなもの、その次の次はもっと大きなもの、その次の次の次は…その次の次の次の次は…


 そうしているうちに人間は、この地球というものを忘れ、自分たち人間が作ったものでしか満足できなくなった。


たくさんの人間が良いと言ったものしか信じなくなり、たくさんの人間が良いと言った場所を良い場所とし、たくさんの人間が集まりすぎて歩くのも困難になるようなところに人間はなぜか好き好んで集まった。


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