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colorS  作者: オレンジタイフーン


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36/41

#36

「#36」



ムーンライトガーデンの秘密基地を後にして…


佐藤が夕張を目指していた。


…その頃。


「おい、副島…


昨日、あのデブタヌキから電話があった…」


誠次は…腰掛けている車輪付きの椅子が、ひっくり返りそうな勢いで貧乏ゆすりしながら話し出した。


「誠次さん…社長は、なんて言ってたんですか?」


そばに立っている副島は、毎度のこととは言え顔色伺いながら声をかける。


「五百川の回りをブンブン飛んでいるハエを1匹消して欲しいってな…」


「佐藤寿雄ですか、丸井善行ですか?」


…と副島。


「しつこいぶら下がり取材のヤツが佐藤で…


五百川の近辺をしつこく嗅ぎ回ってるのが丸井か?」


「丸井ってのは元記者クラブの人間です、大江戸新聞社にいました…


今はヤブーニュースオリジナルの記者で五百川の不審死や裏金のニュースをドンドン出しているみたいです。


ネットニュースはスピードが命ですから…


圧力かけて、揉み消してますが新聞社やテレビ局よりは面倒らしいそうで…」


誠次の問いにスムーズに返す副島。


「ああ…この間くらいからゲロったヤツら消しまくってたな、お前ら…警察に怪しまれるくらい乱暴な殺し方するな…


素人丸出しだ、まいっちゃうぜ‼︎


さっさと、そいつらも殺しちゃえ。」


「お言葉ですが、記者同士のネットワークを侮ってはいけませんよ…


ただでさえ、セスナの時は国際的な問題になりかけましたし、酔っ払い運転のトラックみたいな訳にはいかないんですよ…


ペンは剣よりも…」


「知ったこっちゃねぇよ‼︎‼︎」


副島の話をかき消すような怒鳴り声を誠次があげる。


「あの佐藤…


香山のジジイと繋がりがあるんだな?」


「そのようで…」


副島は迫力に負けて一声発するのが、やっとだった。


「だとしたら、雪乃のイヌかもしれない…


あいつはオレを兄貴のカタキだと思っている…


何か企んでいる…ずっと、ずっとだ。


オレに向ける笑顔の不気味さったら、ありゃしない。


相当に憎いらしい、わかりやすい女だ、しかし侮れない…


消すなら雪乃なんだがな…


流石に次期総理の娘でエターナルの副社長はマスコミのご馳走だよなぁ…」


副島は慌てて話し出した。


「近々、清志さんを抜いて社長になりますよ…


それに、ほら、あの…


獅子身中の虫って言うじゃないですか…」


「その虫はオレの方だろ、ふざけるな死にてぇか?」


副島の例え話に苛立つ誠次。


「とにかく、あの佐藤って男…


ものすごいバランス感覚なんだ、グレーゾーンとコッチ側の境界線を綱渡りし過ぎている。


プロの仕事してるよ、上手過ぎてな…」



「どこかのスパイだったって事ですか?」


アホみたいな顔で副島が言う。


「フィナーレ使え‼︎」


誠次が苛立ちを隠せない。


「フィナーレは鼻毛さんが解散させたんじゃなかったんですか?


愛澤さんもRX事業部自体の存続も考える時期だって五百川さんに話してたとか…」


「五百川からな、やりにくいなら鼻毛もフィナーレも消して構わないとお墨付きをもらっている…


ここのボスはオレなんだ、すでにな…」


誠次は溜め息をついた。


「だったら、尚更…」


不安そうに副島は呟いた。


「喜んでやりたくなるには…


どうすればいいかわかるか?」


誠次の問いに…またアホになる副島。


「弱みを握れ、親…兄弟や家族、恋人、親友なんでも良い…


目の前で痛めつけてやれ‼︎」


副島の表情が引きつる。


「さて、パーティーに参加してもらおうか、元フィナーレさん」


誠次がマスターへ電話する。


3コール程でマスターは誠次の電話に出た。


「よぉ、オレからの電話だ、わかるな…」


「誰からの依頼だ、デブタヌキのスキャンダル揉み消しみたいなくだらないレベルの仕事はしない…


それから、私は、もうフィナーレじゃない。」


誠次の電話を切りたくて仕方ないマスター。


「ん、依頼は五百川だ、おいおい…この国と戦争する気か?


まさか本当に抜けられると思っていたのか、いつから…そんなお花畑になった?」


「RX事業部は快楽殺人の集りじゃない、鼻毛さんが…あれほど止めろと言った動画も続けているよな?」


誠次の言葉に対して怯まず、返すマスター。


「みなしごにしたくは無いだろ、サラが産んだ子供がいるんだろ?」


マスターは赤らめた頬の愛らしい娘の笑顔が脳裏をよぎった。


「脅しか?


随分と悪人らしい言葉だことだ。


裏切り者でも何でもいい…


勝手にしろ、くだらない理由で仲間を何人殺した…


鼻毛さんの堪忍袋もそろそろ限界だぞ!」


マスターは突き放す。


「お前もサラも前嶋も鼻毛も全員…裏切り者として消してやるよ‼︎」


「サラも子供も仲間達も皆、守る…


誠次、吐いた唾は元には戻らないぞ、良いんだな。」


マスターは怒りを抑え込めて静かに話した。


「フィナーレのフィナーレをオレが見届けてやるからな‼︎‼︎」


誠次は電話を切ると、その携帯電話を副島に投げつけた。



フィナーレと鼻毛、誠次との宣戦布告の電話。


夕張での戦いの火蓋が切って落とされた。



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