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colorS  作者: オレンジタイフーン


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31/41

#31

「#31」



サグジスタンから悪意が世界中へ広がっていくことになった…


8月20日…


その早朝、稲村雪乃は…


父であり、総理大臣である勲男に呼び出されていた。


運転手付きの黒塗りの公用車が止まっている。


それに乗り込んで…


…………


その移動する車内で思い出す…


あの日のことを………


車窓から高層ビルやタワーマンション群が壁のように見えた。


雪乃が守護る為の行動を起こした時のことを…


「はじまるのですわね………」


爽やかなミルク色の夜明けに似つかない溜め息をひとつ。



……………………


………………


…………


……





佐藤寿雄がエターナルの施設の調査で夕張を訪れる…13年前のとある日。



雪乃の田園調布の邸宅にある趣きのある茶室にて…


茶室が似合わないむさ苦しい人影があった。


そのうちのひとり、佐藤寿雄は口を開いた。


「次期、総理大臣候補の稲村勲男の特命と聞いて…やってきたが……ふぅ、お嬢ちゃん…茶でも、しばくのか?」


もうひとりの男…鼻毛虎吉も口を開いた。


「私は好きだよ、こういうところ…

心を開いて…話がしたいと…そういうことかな…お姫様。」


雪乃は、かぶりを振るった。


「やめてください、お嬢ちゃんもお姫様も無しです。


若過ぎて不安なのでしょうが…先に話しました通り、RX事業部の暴走を止める抑止力となり得る守護る力が必要です。


その組織の中心となる存在として一緒に戦っていただきたいのです。


どうか、お力添えを……」


正座したままの雪乃は…


座布団から、スッとおりると丁寧に畳に手をついて頭を下げた。


指先が少し震えていた…


彼女も強くあろうと…


必死さが滲み出していた。


風に揺れる鈴蘭のように見えた。



「頭を上げてください、土下座されるのは殴られるよりも堪えるんですよ。」


鼻毛は蓄えた白髭を撫でながら恐縮する。


佐藤は…


「とりあえず、今ここにRX事業部の人間がいるのは何故なんだ。」


もっともな意見を述べる。


雪乃は…


「鼻毛様は、誰よりも止めたいと願っている御方なのですわ。


…ですから、どうか、信用なさってはもらえないでしょうか?」




「俺はグリーンベレーの諜報員だったんだぞ、今も仮名を名乗って生活している。


誰かを信用した事なんて無い、そういうヤツから…真っ先に死んでいった。」


佐藤は…やれやれと言った表情で答えた。


ワインレッドのベレー帽も困惑していた。


同じくワインレッドのスーツを身に纏った鼻毛が…


「なるほど、反対の側にいるって証かな…


その色は高潔である誓いみたいなもんかな、私も同じようなもんだ。


ふふふ、しかしながら色被りするとは気恥ずかしいな。」


「…わかった、引き受けよう、暴力の行き着く先にあるのは地獄でしか無い。


この国は好きだ、祖母の母国だしな…


…んで、組織の名前と構成員は何名いるんだ。」


佐藤は頭をポリポリと掻いた。


「組織の名前は『ノーネーム』です。


現在の構成員は…


私と…鼻毛様、佐藤様の3名です。


他の構成員は厳選していますので、また後日…」


雪乃の言葉に…


「お嬢ちゃん、おままごとじゃないんだ、ふざけるなよ‼︎」


佐藤は呆れ顔で放った。


「厳選しているのはスターチャイルズの中から…かな?


香山さんの孤児院の子供達だろう?」


鼻毛の言葉に雪乃の表情が一瞬、強張る。


「そこまで…ご存知でしたとは…流石ですわね。」


佐藤は…


「香山って…香山博愛(かやまひろよし)の香山財団の創設者だろ。


戦後の復興で財を築いて、バブル崩壊を直感で予見して切り抜けて…


預けた財産の金利分で運営している慈善事業団体の太陽の(サンシャインガーデン)の…」


「稲村家とは懇意にさせていただいておりますの…


99歳という年齢ですので、現在は養子の桜蘭(おうらん)様が事業の引き継ぎをされておりますの…


…で、太陽の庭のなかで博愛様に星を宿した子供達と見出された者…


その子供達は星降る(スターダストガーデン)で潜在能力の向上に励んでおりますの…」


「潜在能力?


なんだ、それは⁉︎」


佐藤は訝しげる。


「超能力に近いなにかじゃないのか、都市伝説みたいなもんさ、あまり深く考えるな…」


鼻毛が佐藤に話す。


「私も詳しいことは分かりませんが…


ガーディアンズという実動部隊のメンバーになってもらう予定です。」


雪乃の言葉に何かピンときた佐藤…


「わかった…


コードネームは必要だな、どうする?


あんたは『ミスターノーズ』で、お嬢ちゃんは『レディスノー』…


俺は『シュガー』だ‼︎


どうだ、最高だろ‼︎」


親指を立てる佐藤。


雪乃と鼻毛は最低だなと思わずにはいられなかった。



「後は…拠点となる場所か……


茶室という訳にはいかんだろ。」


鼻毛がポツリと溢した言葉に…


「茶室、それですわ、エレガントですわ‼︎」


雪乃は柏手を叩いて閃いたと声を上げる。


「よくわからんが、任せたぞ‼︎」


佐藤と鼻毛は見つめ合った。



雪乃の回想は…まだ続いている。


………………


…………


……














 

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