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アトラシア戦記~あるファイターの手記より~  作者: チャラン
第1章 キングウィル防衛戦
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第3話 戦術と相性

 部隊に幾らかの損害を出しながらも、ダークハーピーの急襲を切り抜けたファイターたちは、森林地帯を突破し、ルシファーの魔軍に脅かされていた周辺の町を奪還することに成功した。アトラシア軍の庇護下に置かれた町の民たちは歓喜の声を上げ、サイラス所属のファイター部隊を迎え入れると、死線をくぐり抜けた戦士たちに休息と補給を提供した。


 第一拠点のグロリアの町から西方に各種部隊を移動させ、防衛線と第二拠点の構築に成功したアトラシア軍は、ルシファーの魔勢と一進一退の攻防をしばらく続けた(のち)、膠着気味となりながらも少しずつ戦線を伸張させて行った。


 白兵戦を得意とし、体力があるゴブリンはダークエルフに強く、空中を自在に舞い、機動力のあるハーピーはダークゴブリンに強く、森林を素早く移動し、弓矢を正確に射ち放つエルフはダークハーピーに強い。三すくみになっている妖精族部隊の相性を基本戦術に取り入れることで、アトラシア軍は魔勢をじわりと西に退けていき、ついにルシファーが鎮座する城まで前線を押し上げた。




「苦労したけどここまで来たわね。キングウィル地方の奪還はもうすぐだわ」

「いや、もうすぐとも言えない。確かに戦力上、追い詰めはしたものの、魔軍の首領であるルシファーは手強い。我々小型妖精族の部隊では、ルシファーの魔剣を打ち払い、効果的な打撃を次々と加えていくことはできない」


 ルシファーの居城を向こうに見据え、最前線まで仲間と共に移動して来た、ハーピー部隊所属のシェリーと、エルフ部隊の隊長クロードが、冷静に話し合っている。シェリーが言う通り、追い詰められたルシファーの首を取れば、キングウィル地方の奪還は成し遂げられる。しかしながら、現状を把握しているクロードが、冷静に解説している内容も、看過できない事実だ。


 ゴブリン、ハーピー、エルフ、3兵種の小型妖精族部隊は、戦力的にルシファーとの相性が悪く、決定打となる攻撃を加えられる可能性が低い。ただ、城に乗り込み、ルシファーの魔剣に対抗できる部隊は、この最前線に1兵種だけいる。


「俺たちがルシファーを斬るしかないな。シェリーとクロードはサポートに回ってくれ、ファイター部隊で何とかしよう」

「分かった。頼んだぞ、サイラス」

「私たちは、城周りの敵を倒すことに専念するわ。無事に帰ってきてね」


 通常戦力的には妖精族部隊より弱いものの、人間族であるファイターは、ルシファーが放つ魔力の影響をそれほど受けず、剣を振るうことができる。


 クロードとシェリーから信頼のエールを送られたサイラスは、ここまでで得た実戦経験をできるだけ詳細にイメージすると、心身に気合を込め、キングウィルでの決着をつけるため、仲間のファイター部隊と共に、ルシファーの居城へ向かった。

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