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蛍は焦げる  作者: 愛璃
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オタクと恋愛

ついに!やってきた!

この数日は今日を糧に生きてきたと言っても過言ではないほど待ち望んでいた。


『きゃああ!!涼菜ーーーー!!』


「伊織ちゃーーーん!!」


「琴乃さーーーん!!」


私たち、絶賛オタ活中です☆


イベント会場限定のグッズもたんまりと買い、推しへの声援で声も枯らしたあとは、恒例のファミレスでの語り合い。


『あ〜、余韻が…私の涼菜、可愛かったです、山浦さん本当に感謝します…』


「いえいえ、こちらこそ一緒に楽しめてよかったです」


「というか奈美ちゃん、ガチオタだったじゃん笑」


ギャルゲーと言うだけあって会場には男の人が多く、その中でも私は数少ない女だと言うのに負けずに大声を出すものだから確かに浮いていた気もする。


「まあ、それもあるんだろうけどね、」


「ね」


山浦さんと熊井さんは顔を見合わせて納得の表情を見せるが私にはなんのことだかさっぱりわからなかった。


実を言うと、ギャルゲーのイベントに来ているはずなのに奈美に夢中になっている男性がいたことが否定できなかったのだ。

ギャルゲーのイベントと言うだけあって会場は男性で溢れていた中に、奈美やほかの女の子がちらほらいたから浮いていたというのも確かな事実だ。

しかし、ほかの女の子が奈美ほど浮いていたかと言うとそうではない。

奈美のような容姿が優れている女の子が、汗が滴るまで推しを一生懸命に応援している姿に心を奪われてしまいそうになる気持ちは熊井と山浦が十分に理解していた。

先程の相槌は、本人は自分がオタク過ぎたからだと勘違いをしているが、そのような勘違いをするところこそが奈美の可愛らしいところだと2人が再認識した故のものだった。

しかし、山浦には気になることがあり、話を切って悪いが、と一言付け足して奈美へある質問を仕掛けた。


「そういえば、あの二人とはどうなの?」


『あの二人…とは?』


あの二人とは誰と誰なのだろうか、それが何を言っているのか私にはわからなかった。


すると、2人はまた顔を見合わせてから私を見て、


笑った。


「「ふっ!あはははは!!」」


「はーやばい、山浦さん、どうしよう」


「これは…鈍すぎてつらいなあ」


熊井さんと山浦さんはその後も笑い続け、私はなんのことだとさっぱりわからないまま。


聞いても、奈美ちゃんは今のままでいい、との一点張りで。


2人だけわかってずるいなあなんて。


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