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蛍は焦げる  作者: 愛璃
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君に酔う

実は奈美と達斗は定期的に本の語り合いをしており、今日がちょうどその日であった。

おすすめの本を持ち寄ってそれについて読んで話すというのが彼女たちのいつものメニューだが、これは2人が本を読むのが早いからできること会合。

元恋人と定期的に本の語り合いをする…カオスな状況ではあるがお互いに好きなものを共有することができるから満足している。

部活帰りにいつものファミレスへと向かう道で、奈美が突然立ち止まる。


『ごめん、本持ってくるの忘れちゃったから今日は家でしない?』


ということがあり、今日の会合は奈美の家で行われることになった。

奈美にとって、達斗は元恋人現友達。

しかし、達斗にとって、奈美は元恋人現想い人。

好きな人の家に行くなんて自分の理性が保つものか、と少しばかり渋ったが


「お邪魔します…」


と、現在に至る。


『ごめんね、散らかってるけど』


人を呼ぶ予定なんかなかったけど、常に部屋は片付けておくべきだなと改めて考えさせられた。


まさか、本を忘れてしまうなんて何たる失態。


私はこの語り合いを楽しみにしているから延期にするなんてしたくなかった。


先週、本屋で偶然出会ったあの本を紹介せずにはいられなかった。


何か飲むもの…早く本の語り合いを始めたくて手前の方に入っていたあまり見覚えのない缶を2つ手に取り、1口ぐいっと飲んでから達斗の元へ向かった。


それを渡すと達斗は不思議そうな顔をして私を見た。


「え、これ…」


『なあに?』


私は喉が渇いていたからか気にせずそれを飲み干した。


「え、ちょっと、それはまずいだろ…大丈夫?」


なぜか心配してくる達斗。


確かに少しふわふわするし、体が熱い。

もしかして:かぜ?


そのあと、気づいたら私は眠りについていた。


経つとの手に渡されていたのはチューハイの缶。

先日のお泊まり会で濱元から没収したものをそのまま冷蔵庫に入れてしまっていたため、ジュースと勘違いした奈美はそれを渡してしまったのだ。

スースーと寝息を立てて隣で寝ている奈美をベッドまで運んでやると、酒に酔って頬が火照っているせいか、いつもよりも色気を感じる。

このまま奈美に手を出してしまいそうになるのを抑え、頬に軽いキスを落とした。

理性が保てるうちに帰ってしまいたいものだが、鍵の問題があるため達斗はソファで寝ることにした。


『あぁ〜、頭痛い……ええええ!?』


私が朝起きてみたものはソファで寝ている達斗の姿。


どうして?なんで?


私の声に驚いて起きた達斗から話を聞くに、私は祥くんから没収したお酒をジュースと勘違いして飲んで酔っ払ってしまったらしい。


『私…何も変なことしてないよね?』


と聞くと、


「さあ」


なんて答えられるもんだから、一生懸命に謝った。


「今日は二日酔いもあるだろうから部活は休みな」


と、コップに水を入れて渡してくれる達斗。


残念だけど、今日は部活お休みにしたいと思います……。


夕方頃に山浦さんから"渡したいものがあったのに…"と連絡が来ていたけど何だろう?


なんだか、明日部活に行くのが楽しみだ。


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