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短編前編 夏子家のバレンタイン(前夜)

 えー、この話は、完全に本編とは、確実に、関係ありません。


「もし、今、nowの関係値でバレンタインが来てたら?」


 今nowと言っても、一応、ミッション後、の設定です。(あんま関係ないけど)

 なろうだと、ちょっと時系列が崩れてるので…でも、気にせずに読める範囲だと思います。


 前の短編ほどえっちじゃないです。







―――――――――――――――――――――――――――――――――――――









「……あ、フミ、それぐじゅぐじゅぺーしたら次私にちょうだい?」


「ぐじゅぐじゅぺーって、小学生かよ。…別にいいけど、最近、なんか多くない?」



 ソレとは、うがいして口臭を無くす、ちょっと辛いやつだ。

 私は、前も言ったが、生まれつきめちゃ鼻が良いから、口臭とかマジで気にするタイプだ。だから、昔から使ってた。

 ミナは、こういうの使わないタイプだったのに…



「ここ1週間ね。」


「キスするようになったから、口臭気にし始めた?大丈夫だよ?ミナ、別に臭くない。」


「は?相変わらずフミはデリカシー無いよね。ノンデリ。ボケナス」


「違うの?」


「……まぁ、明日分かるよ。」



 明日?………



「なんで明日?」


「……だから、明日になれば分かるって。」


「何か特別なことでもあったっけ?」


「……バレンタインだよ。」


「……あ〜…忘れてた。」



 バレンタイン。2月14日。私にとっては、死ぬほど関係のない日だ。

 男とここ数年話したことすらないのに、チョコを渡す相手なんているわけない。



「…フミ、友チョコ作んないの?」


「今年のバレンタイン、土曜日じゃん。じゃあ、いらないでしょ。」


「睦月ちゃんは?」


「学園の寮生活だから、こっち来るのには結構時間かかっちゃうし、来ないと思うよ?そういう話もして無いし。」


「……じゃ、じゃあさ、私のために、バレンタイン、何か作ってよ。」


「えーメンドイ。」


「チッボケナスノンデリが!」



 えー…今のどこにノンデリ要素が…?

 ボケナス、とは、まぁ、ミナの口癖だ。意味は特にない。便利な言葉だ。時々私も使う。

 もちろん、家以外では死んでも使わないけどね?



「そんなボケナスフミには、私が何か作ってあげるから!フミも作ってよ!」


「えー…いいよ、バレンタインなんて。普通の日だよ。」


「………お姉ちゃん、いつも、お母さんがバレンタインのチョコ作ってくれるでしょ?」


「…うん。」


「そんな感じで、他の家庭でもバレンタインは特別なんだよ?ということは、学校にいるお姉ちゃんの大事な友達も、バレンタインはちょっと特別なんだよ。」


「…何が言いたいの?」


「月曜日学校行った時、バレンタインの話で盛り上がるかも知れないよ?その中で、お姉ちゃんだけ「バレンタイン何もしてない…」ってなるよ?」



 …そうか、ミナは、共通の話題を作ってくれようとしてたんだ。

 でも、私、共通の話題でも結局あんまりいつもと変わりないよ…?



「……ミナは家での私しか見てないから分からないかもだけど、私、共通の話題とか関係なく喋れないよ。」


「…それ、言ってて虚しくならない?」


「めちゃなる。」


「………攻め方を変えるしかないか…。」


「え?なんて?」


「ううん。なんでもないよ。」


「攻め方を変えるしかないか、って何?」


「全部聞こえてんじゃん。そこは、都合よく聞こえてないもんじゃないの?」



 聞こえてはいるけど、何言ってるか分かんなかったら結局意味無い。



「ねぇ、お姉ちゃん、今日一緒に寝よーよ」


「えーー…」


「嫌なら、明日私にチョコ作ってよ。」


「………ムラムラしないならいいよ。」


「は?フミテメェマジで、マジでクソボケナスクソノンデリクソゴミ野郎!!もういい!!!」


「ご、ごめんって、冗談だって、ね、ねぇ、本当にごめん。ごめん、謝るから、」



 ヤバい、マジで振り向いてくれない。

 やらかした。流石に、ライン越えだったか…

 ミナは、羞恥心が0か100と、超極端だ。だから、大抵の普通は恥ずかしい行為は出来るが、さっきみたいに99のラインを越えたら恥ずかしがり、怒る。

 つまり、ミナは、あの時のこと、相当恥ずかしい思い出、と思っているということだ。


 って、そんなこと言ってる場合じゃない。ミナは、本気で怒ったら一週間は普通に口聞いてくれなくなる。滅多に怒らない代わりに、その反動がデカい。そうなる前に、怒りを抑えないと。



「本当にごめん。あ、今日、一緒に寝よう?そして、明日、チョコも一緒に作ろう?ね?あ、ミナのして欲しいこと、何でも一つ叶えるからさ、出来る限りは!」


「………言ったからね?」


「うん!だから、許して?」


「………こっちこそ、あんな言葉だけで急にキレてごめん…。」



 どうやら、許してくれるらしい。

 本当に…もう、ミナはいい子なんだよ…

 このやり取りだけで分かるでしょ?本当に、良い子なんです。かわいくて、性格も良くて、頭も良くて。


 あ〜かわいい。何でもしてあげたくなっちゃう。さっきの「テメェ」も、かわいいし。珍しいから保存しちゃいたいもん。



「ミナは悪くないのに。それでも謝るなんて、偉いね〜。本当に、出来た子だね〜。」


「は?子供扱いすんな!!私がフミにされて嫌なことトップ5に入ることだっていつも言ってるでしょ!!!」


「ご、ごめん…」



 ついつい、可愛がっちゃうけど、そうだった、ミナは、子供扱いが大の苦手だ。

 多分、昔からちっこかったから、子供扱いを、バカにされてると勘違いしちゃうのだろう。



「でも、私相手に「なんでも一つ」なんて言っちゃって良かったの?それこそ、ムラムラしちゃうよ?私。」


「……自分で言うのはいいんだ。」


「さっきのは、タイミングって言うか…あと、お姉ちゃんにバカにされてるというのも込みで恥ずかしさが倍増って言うか…作戦実行中だったからと言うか……」


「タイミングが悪かったんだ……そういうの、私苦手だからなぁ…」



 ミナの言う通り、私は、実際、ノンデリなんだと思う。時々むっちゃんにも言われるし。十六夜さんにも言われたし、ミッションの時に神無月さんにも言われたし。

 治そうとしても治せない、最悪な人間だ。



「おかあさ~ん!私今日フミの部屋でねるからー!」


「相変わらず仲良しねぇ……でも、夜更かしはダメよ?」


「はーい。」



 歯磨きを終え、自室へ向かう。その後ろを、ミナが着いてくる。

 バレンタイン…チョコ作りかぁ……がんばろ。料理とか、全然しないけど。



「ねぇねぇテレビつけていい?」


「ダメ。寝るよ。ほら、ベッド入って?」


「えー…はーい。」



 渋々、といった様子でベッドに入るミナ。



「チョコって言っても、明日は何作るの?」


「私は~マカロンとか、キャンデイとか、ドーナッツとかカップケーキとか、色々候補はあるけど……フミは?」


「私は……なんだろ、グミとかマシュマロとか?」


「は?なんで?よりによって、なんでそのチョイス?分かってやってる?」


「え、何急に。……でも、作るってなると難しそうだし…クッキーとかかな?」


「ダメ。」


「えー…」



 バレンタインって、貰う側が決めるものだったっけ……



「せめて、カップケーキにトッピングとか、作るのが簡単なドーナッツとかにしてよ!」


「別にいいけど……じゃあ、カップケーキにトッピング&ドーナッツかな。」


「じゃあ私は~クリーム無しマカロンとかでもいいけど…ハードキャンディーにしようかな。そして、カップケーキのトッピング、一緒にやろーよ。」


「いいね~。じゃあ、そうしよっか。」


「うん!」



 女の子って、やっぱり料理というか、お菓子作り?とかが好きなのかな…ミナが、結構稀にみるレベルで喜んでる。「うん!」だなんて、思わず抱きしめたくなっちゃうよ。



「フミ、苦しい…」



 あ、もう抱きしめてた。体が先に動いてた…。



「ごめん、力入れ過ぎた。」


「別にいいけど…急にどうしたの?」


「いや?なんとなく。」


「ふーん…じゃあ、私もなんとなくフミのおっぱい揉むね。」



 ……ミナは、本当に胸が好きだな…自分にあるじゃん。それ揉みなよ。………揉めるほど無いか。

 自分にないから、ミナは私の胸をよく揉むのか……頭も良くてかわいくて運動もできて、何でもできるミナだけど、胸は無い。だから、執着するのかな…

 そう考えると、よく胸揉むのも納得出来るかも。



「ミナ、寝る前は髪降ろすけど、降ろすとなんか雰囲気変わるよね。」


「どんな風に?」


「………想像にお任せするよ。」



 ロリ水色ツインテから、髪を降ろしたロリに。

 私は、ギャップが死ぬほど大好きだから、ミナのこの姿はなかなかに好き。

 というか、よく考えてみれば、ミナは、私の好きな髪色に、私の好きな髪型なんだよな…私、水色、青が好きだし、ツインテが大好き。それに加え、ギャップも持ってる。

 すげぇ偶然ってあるんだなぁ。



「お姉ちゃん、好きだもんねーギャップ。」


「何で知ってるの!?」


「知らないわけないじゃん。それに、ツインテも好きだよね。」


「何で知ってるの!?!?」


「お姉ちゃんの性癖なんて、完全把握してるよ~。」


「私でも分かってないのに!?」


「あと、お姉ちゃんはキスされる時、手を動かさずにはいられないよね。多動だから。」


「そうなの…?」



 私でも知らない情報がたくさん出てきたんですが…?

 いや、普通に怖い。



「試してあげるよ。ちゅ~!…………おっぱいが邪魔で届かない。」


「いや、私の胸揉んでるからでしょ。」


「あ、ほんとだ。それじゃあちゅー!」



 なんの遠慮もなく、ミナは簡単に、口にキスをしてくる。まぁ、もう私も気にしてないけどね。あの日以来、何回かあったし。



「ほら、お姉ちゃん、今、私の両手握ってるでしょ?」


「……ほんとだ。」


「無意識なの?」


「意識的にやることもあるけど、今回は無意識かも。」


「へ~、まぁいいや。今日はこの辺にしといてあげる。」


「え、珍しいね。」



 だいたい、私たちが一緒に寝ると、ミナの口車に乗せられてヒートアップしてしまう。それは、キス云々もあるけど、普通に雑談でも。だいたい、深夜になってることが多い。



「まぁ、本番は明日だからね。」


「本番?」


「フミは物足りないかもしれないけど、我慢してね~。」


「私はミナと違って変態でもスケベでもないから、物足りないという感情は湧かないよ。」


「私が変態スケベという点は認めるよ。でも、フミが変態でスケベではない、という点には同意しかねる。」



 私は、変態じゃない。スケベでもない。性欲は、恐らく薄い方だと思う。多分。



「私は変態スケベじゃない!」


「いーや。ムッツリだね。」


「違います~。」


「みんな思ってると思うよ?夏子文月はムッツリだって。」


「みんなって誰だよ…」


「まぁいいや。あくまで本番は明日だからね。おやすみ~。」


「……おやすみ。」

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